改革へ疾駆せよ 小泉純一郎

執筆者:黒河小太郎2001年12月号

話題の書『寸前暗黒』で日本政治の実相をつぶさに描いた筆者が、小泉政治の七カ月半を振り返り、型破りの宰相が推し進める改革が本当に意味での成功を収めるよう、いまあらためて檄をとばす。 二十一世紀の最初の年である二〇〇一年は、テロ事件とイチローと、そして小泉純一郎で終わってしまった。とはいっても、高い支持率を誇る小泉内閣は、まださしたる実績を残していない。したがって、八〇%もの高い支持率は明らかに過大評価である。 ジャーナリズムのあり方として多分に誤解されている「批判的視線」だけで見詰めれば、この内閣は穴だらけだ。この国の将来を託すにはあまりにも脆弱である。したがって揚げ足を取る気ならば、材料にはこと欠かない。 にもかかわらず、この内閣に、というよりは小泉純一郎という一風変わった総理大臣にエールを送ろうと考える。この総理大臣が葬り去られるとして、そのあとに総理大臣として登場するであろう政治家の顔を想像するだけで立ちくらみしてくるからである。 議会制民主主義が続く限り、だれかが総理に選ばれる。たぶん、自民党による政権が続いているだろう。小泉が倒れるということは、小泉的ドグマが否定されることだから、またぞろ、民主的手続きの名のもとに、派閥や族議員の間の談合が繰り返されることになる。

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