会議の「間」を見つける

執筆者:梅田望夫2002年7月号

 五月十一日から三泊五日(東京)。五月二十二日から七泊九日(東京と京都)。シリコンバレーに活動拠点を移してからまもなく八年になるが、日本との間を一カ月に二往復したのは初めてだった。やはり想像していた以上の消耗で、今は気力と体力の回復に努める毎日だ。 日本との往復頻度が増しているのは、コーポレート・ガバナンスの一環で日本企業各社が昨年頃から設置しはじめた経営諮問委員会やアドバイザリーボードの社外メンバーとしての仕事が増えたためである。 特に五月は、中旬に日本電気の経営諮問委員会(年四回)、下旬にオムロンのアドバイザリーボード(年二回)とNTTドコモのアドバイザリーボード(年四回)がそれぞれセットされたために、どうしても日米を二往復せざるを得なかった。 こうした会議で何がどう議論されたかを書くことはもちろんできないのだが、守秘義務に抵触しない範囲で、その印象や感想を述べることはきっと許されることと思う。 まず、いつも痛感するこの仕事の難しさは、対象とするテーマが経営全般と広大であるにもかかわらず、発言時間が物理的に限られており、しかも正しい発言タイミングを逸するとどれだけ入念に行なった準備も水泡に帰してしまう点にある。俺が俺がという感じで、会議の流れに無関係の話題を長々と話せば自己満足はできるかもしれないが、会議は一気に弛緩して、全体としての価値が失われてしまうからだ。そして、同じ内容のメッセージを伝えるのなら、発言は短ければ短いほどよい。

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