インドネシアのメガワティ大統領が、独立運動が続くアチェ特別州に非常事態を宣言する準備を進めている。一方でアチェ独立派組織「自由アチェ運動(GAM)」の亡命政府も海外で緊急幹部会議を招集。独立派住民やゲリラに厳戒態勢を指示した。流血の惨事を繰り返してきた武力抗争は、新たな展開を迎えようとしている。 天然資源が豊富なアチェでは、GAMの攻勢により、北アチェ県ロスマウェの石油・天然ガスプラントが操業停止に追い込まれた。同県にプラントを持つ日本や欧米が他国での生産に切り替えを検討するなど、インドネシア政府に大きな損害を与えている。このため軍を中心に強硬論が高まり、今年二月にはアチェ軍管区が復活。部隊が増強され、各地で独立派側と衝突が続いている状況だ。 現在メガワティ大統領は、軍に背中を押される形で非常事態を宣言、一気にGAMの掃討を狙っている模様。これに対しGAM側も改めて独立を目指す宣言を発表するなど、全面衝突の危機が高まっている。八月初旬にはアメリカの特使が現地を訪れ、治安当局、GAM関係者双方と会談して対話再開を促したものの、和平への道は遠のく一方だ。

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