北朝鮮の報道機関でこのところ、故・金日成主席、金正日労働党総書記に続く「新しい星」が誕生したとの論評が出ており、「金王朝」三代目の台頭かとの憶測を呼んでいる。 朝鮮総連関係者の間でささやかれている有力後継候補は、「金ヒョン」という無名の人物。年齢は今年で三十歳とされ、最近、朝鮮労働党の宣伝部門責任者に就任したとの情報がある。金正日氏の腹違いの弟と目される謎の人物で、名前は「金賢男」とする説もある。「金ヒョン」の名は以前、韓国情報機関でも伝えられており、それによると、一九七二年に金日成主席が担当の看護婦との間にもうけた子供だという。 金王朝三代目の最有力候補は金正日氏の長男、金正男氏(三〇)だったが、昨年五月、日本への不法入国を摘発されたことで、長老らの間で過去の行状も含めて批判され、「後継者の可能性は消えた」(日本外務省幹部)と見られている。 金正日氏は今年還暦で、同氏も金日成主席が還暦を迎えた七二年に実質的に後継指名された。一方で、国内には「革命の継承は血よりも魂」と一族の継承を暗に批判する論調もあり、後継をめぐる権力闘争説も出ている。

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