巨大メディア企業の「宴の後始末」

執筆者:岩田登2002年10月号

コンテンツとインフラを融合させる「垂直統合モデル」は破綻した。次なるビジネスモデルは見えぬまま、拡げすぎた大風呂敷の後始末が続いている。 AOL(アメリカ・オンライン)とタイム・ワーナーが合併して二〇〇一年一月に発足した世界最大のメディア企業、米AOLタイム・ワーナーでは、誕生から一年半余り経った今夏、首脳部で「パワーシフト」が起きた。 七月、AOL出身で一時は次期CEO(最高経営責任者)の筆頭候補と見られていたロバート・ピットマンCOO(最高執行責任者)の退任が決まり、同時に発表された機構改革と人事で、この合併を主導したAOLの失墜とタイム・ワーナーの実権掌握が明確になった。 同社は事業を「メディア&コミュニケーションズ・グループ」と「エンタテインメント&ネットワークス・グループ」に二分割。AOLや出版、ケーブルの各事業を統括する前者のトップには出版のタイム元会長のドン・ローガン氏、映画や音楽、テレビなどを統括する後者のトップにはHBO(CATV)元会長のジェフ・ビュークス氏が就いた。共にタイム・ワーナーの出身だ。両氏の上司はピットマン氏を退け五月にCEOに就いたばかりのリチャード・パーソンズ氏。ジェラルド・レビン氏に次ぐ二代続けてのタイム・ワーナー出身CEOだ。

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