今年から中国人留学生がどっと増えそうだ。海外に私費で留学する中国人学生に課される「高等教育培養費」支払い義務が昨年十一月から廃止されたからだ。国費で高等教育がまかなわれている中国では、大学生、院生といった教育程度に応じて二年から五年の間、国内勤務が義務づけられ、その「お礼奉公」が終了しないうちに私費留学する場合、国家に対して数千―数万元の「培養費」を支払わなくてはならなかった。 一九九三年に導入されたこの制度は、私費留学生がそのまま海外に定着する人材流出を防ぐための措置だった。しかし、この数年、中国の経済発展に伴い留学生の帰国ラッシュが始まった。昨年秋の段階で、海外の中国人留学生は四十六万人以上、帰国し起業した留学生は累計十三万人以上。帰国者数は年率で平均一三%増加し、中国経済の牽引力となっていることが判明している。 加えて、中国紙の論調では「帰国しなくとも国際社会で中国人が活躍しているという点が重要だ」という経済のグローバル化による意識変化もある。留学が簡単になったことで、中国人の国際人材市場が形成されるとの予測もある。

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