1998年8月

執筆者:名越健郎2003年8月号

 ヒラリー・クリントン前米大統領夫人の回顧録『リビング・ヒストリー』は、いきなり初版100万部が出版され、快調な売れ行きのようだ。全562ページの分厚い本だが、最も注目を集めたのは、予想通りクリントン氏が夫人に対し、モニカ・ルインスキーさんとの不倫を認めたシーンだった。「私は泣き出し、叫んだ。どういうことなの? 何を言っているの? 何でウソをついたの?…… ビルは『すまない。君とチェルシー(長女)を守るためだった』と答え、ただ立ち尽くしていた」 1998年8月15日朝、夫人の寝室での会話だが、そのディテールは、全米にあの記憶をよみがえらせた。問『リビング・ヒストリー』で最も意外な部分はどこか。答 ビルがヒラリーの寝室がどこにあるか知っていたことだ。問 ヒラリー上院議員の本が『ハリー・ポッター』よりも売れ行きがいいのはなぜか。答 読者はより毒のある魔女に魅せられる。問 ヒラリー議員は回顧録を出版したのに、クリントン前大統領がまだ1章しか書いていないのはなぜか?答 フィクションはノンフィクションを書くより、はるかに時間がかかる。 ヒラリー議員は回顧録で、クリントン氏とはエール大の図書館で初めて会ったと告白した。これを聞いたブッシュ大統領が捏造の可能性を指摘した。

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