早くも「下野」を口走った盧武鉉の苦境

執筆者:黒田勝弘2003年9月号

与党内からも批判が高まる政治手法。韓国新大統領は追いつめられ、マスコミ攻撃に血道を上げる。[ソウル発]韓国の盧武鉉政権はスタートから半年たった。対外的には北朝鮮の核問題をめぐって、国内の反米ナショナリズムを抑えながら国際協調体制にかろうじてとどまっているが、対内的には極端な支持率低下で苦しんでいる。マスコミは「四面楚歌」と書き立て、与党幹部でさえ「任期をまっとうできるか心配だ」(金槿泰民主党顧問)と公言している。与党・民主党内部には「このままでは来年四月の総選挙は盧大統領を担いでは戦えない」との声も出ている。 盧武鉉大統領自身、「(マスコミにいくら叩かれても)自分の自尊心と忍耐心は後退しない。政府も倒れないし大統領も下野しない」(八月二日の政府幹部との国政討論会から)などと早くも「下野」つまり退陣の話を持ち出すほどだ。もちろん「絶対に退陣しない」といっているのだが、いくら異色の大統領とはいえ、就任半年にもならないのに自ら「下野」を話題にするのは、あまりに早すぎる。 各新聞の世論調査による支持率はスタート時点では九二%もあったのが、七月末には二四%にまで急落している。これは韓国の過去の政権にはまったくなかったことだ。

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