イラクの治安情勢の悪化で派遣のめどが立たない自衛隊だが、米国から「逃げるな」と尻を叩かれ、防衛庁は再び年内派遣を模索することになった。すでに政府調査団を現地に送り込み、最後の調整に入っている。 派遣が有力視されるのは航空自衛隊のC130輸送機。三機程度を送り込み、隊員は百人前後が見込まれる。隣国クウェートを本拠地とし、同国とバグダッドやバスラといったイラク主要都市間で物資や米兵を空輸する計画という。 米国は陸上自衛隊の派遣を求めていたが、国連現地本部が爆破され、テロ攻撃で連日のように米兵が死亡している現地情勢では陸自派遣はやはり困難。とはいえ、ブッシュ米大統領が来日する十月十七日までには何らかの回答を用意する必要があり、レバノン―イタリア間の空輸実績もあるC130輸送機に白羽の矢が立った。 もっとも、イラクでは戦闘終結宣言後、携帯式ミサイルによる航空機攻撃が五回あったとされ、相当に危険であるのは間違いない。航空自衛隊幹部は「民間航空機が離着陸している空港での活動が条件」と話しており、イラク国内の空港事情の調査が始まっている。

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