世界の企業がバンガロールに押し寄せ始めた

執筆者:ラムタヌ・マイトゥラ2004年3月号

かつてのインド・ブームの際には、失敗の憂き目をみた日本企業も少なくなかった。だが、今こそ「第二の中国」が生まれつつあるのかもしれない。日本の選択は?[ニューデリー発]インドではこの四月に総選挙が行なわれる見通しとなった。下院の任期切れは本来十月。にもかかわらずバジパイ政権が解散・投票の前倒しを打ち出したのは、上昇気流に乗った経済を選挙の追い風とするためだ。 ここ数年五―六%の安定成長を続けてきたインド経済が、二〇〇三年度の第3四半期に年率換算で八・四%という高い成長率を記録した。この四月からの新年度も通年で八%を多少上回る成長が見込まれている。 これだけの数字が十年続くような本格的な高度成長は到来するのだろうか。その成否を左右する要素は少なくないが、ひとつ確かなことがある。長らく年三・五―四%程度の成長しか達成できず(揶揄されて曰く「ヒンズー成長率」)、対印投資の魅力を損なってきたインド経済は、すでに過去のものであるということだ。 新たな成長曲線は、一九九〇年代初頭に経済改革とともに始まった(中国より十年ほど遅れた勘定だ)。その効果はすぐに表れ、九〇年代後半には経済成長率は七%台に上昇した。改革への着手から現在に至る間に、インドの経済規模は実質ベースで二倍に拡大している(ちなみに、中国経済は三倍に拡大)。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。