仏政界の暴れん坊ニコラ・サルコジの実力

執筆者:池村俊郎2004年3月号

[パリ発]フランス政界に波風が立ち始めた。二年前、シラク大統領が再選され、直後の総選挙で保守勢力が圧勝し、万全な政治基盤のはずなのに、なぜか足元がぐらついている。 原因の一つに保守勢力に波紋を呼ぶ内相ニコラ・サルコジ(四九)の挑発的な言動がある。その発言には保守の総帥シラク大統領に向けたチャレンジの意図がこめられており、最近も「相撲こきおろし発言」があったばかりだ。「相撲が知的なスポーツなんて思えない。肥満体のぶつかり合いじゃないか」「東京は胸ふさぐ気分になる都市だ」「私は日本より中国が好きだな」―― 一月の中国訪問中、オフレコのつもりで同行記者団にそんなことを並べ立てたら、写真週刊誌「パリ・マッチ」の記者が飛びついて報道し、仏政界で騒ぎとなった。 この一件に関して日本の一部メディアが、サルコジ内相は「日本嫌い?」などと書き立てたが、そこに真意はない。この発言によって、サルコジ内相が、相撲好き、日本びいきで知られるシラク大統領をとことん皮肉っていることは明らかであった。 現在、サルコジ内相は、保守陣営ではライバルを二十ポイント近く引き離し、世論支持率五〇%とダントツのトップ、大統領ポストへの野心を隠さない挑戦的なスタイルで、「暴れん坊の若殿」役を引き受けている。

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