謝り方から見えてくるもの

執筆者:成毛眞2004年6月号

 最近の一連の不祥事に対する各企業の、ホームページでの対応をみていると、恐ろしいまでの格差が企業間で広がっていると感じてしまう。信頼の格差である。 六年前に六十六万人分のデータが流出した可能性があると発表した通信販売大手、ジャパネットたかたのホームページを見てみると、発表から一カ月以上たった四月二十七日時点でもお詫びと対策のページしかアクセスできない。商品カタログどころか、会社案内や人材採用のリンクすら一切表示されない。 鬼気迫るものがある。百億円の機会損失を覚悟してまで、自社にとって最も重要な顧客の信頼を本気で回復しようとしているのが良くわかる。「痛みに耐えて良くがんばった、感動した」。販売を再開したら、電子辞書なんぞを買おうと思う。採点は百点満点。 四百五十万人分を漏洩したとされるソフトバンクは、お詫びのしるしに五百円の金券を送るという。通信業だからサービスを止めることができないのであろう。通常のホームページは運営されているものの、ページのトップはお詫びと対策の報告。 我が畏友、憎めないキャラの孫さんが困った顔をして謝っている写真があれば百点をあげたいのだが、そこで二十点減点。 この二社に共通するのは本人も被害者であることだ。それにもかかわらず顧客へその被害を転嫁させないように努力している。

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