パレスチナで自治政府のムハンマド・ダハラン元治安相(四三)が、治安上の焦点になりつつある。 PLO(パレスチナ解放機構)の主流派ファタハの中で「新世代」に属するダハラン氏は、ここ数カ月、改革の実施や不正の取締りを声高に訴え、「旧世代」を擁護するアラファト議長批判を繰り返してきた。だが、パレスチナ人の多くはダハラン氏に疑惑の目を向けている。七月中旬にガザ地区で発生した騒乱事件は、ダハラン氏が裏で糸を引いていたとの見方が浮上しているのだ。 アラファト議長追い落としの背後にチラつくのはイスラエルとアメリカの影。自治政府のジブリ・ラジューブ国家安全保障顧問はサウジアラビアのオカズ紙に対して「ダハラン氏はイスラエルの協力者である」と語り、名指しで批判している。 一方で、ダハラン氏を「CIA(米中央情報局)とモサドの代理人」と呼んだガジ・ジャバリ前警察庁長官が武装集団に襲撃され、警護官一人が死亡した事件は、こうした批判に対するダハラン氏の反撃と考えられる。パレスチナ自治政府の世代間闘争が、危険水域に達しているのは間違いない。

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