小沢氏が「政敵」に突きつけた匕首

執筆者:2010年12月29日
28日午後、衆院政治倫理審査会への出席を表明し、記者の質問を受ける小沢氏 (C)時事
28日午後、衆院政治倫理審査会への出席を表明し、記者の質問を受ける小沢氏 (C)時事

 民主党の小沢一郎元代表は、12月28日午後、衆院議員会館で記者会見し、政治倫理審査会(政倫審)に出席する意向を表明したが、額面通りに受け止めるわけにはいかない。記者会見での小沢氏の発言内容を詳細に分析すると、小沢氏の本当の意図が見えてくる。小沢氏はこう言ったのだ。 「通常国会において、私が政倫審に出席しなければ、国会審議が開始されないというような場合、すなわち私が出席することにより予算案の審議をはじめ、国会の審議が円滑に進められるということであれば、通常国会冒頭にも政倫審に出席し、説明したいと考えております」  発言には2つの重要なポイントが含まれている。まず1点目は、小沢氏が政倫審に応じる時期は、通常国会召集前ではなく召集後だという点である。次にポイントになるのは、自分自身の政倫審出席にあたって国会審議の正常化が保証されることを要求しているという点である。  通常国会召集後の野党の出方をみて、政倫審への出欠を決めるというわけだが、自民党や公明党などの野党は、問責決議が可決された仙谷由人官房長官や馬淵澄夫国土交通相の解任がなされなければ、通常国会での審議を拒否するという姿勢を固めている。そう考えると、小沢氏の提示した条件は、仙谷、馬淵両氏を解任すれば、政倫審に応じると言っているのに等しい。  28日の記者会見での小沢氏の姿は、一見、前日の党役員会で菅首相や岡田克也幹事長に政倫審出席か自発的な民主党離党のいずれかを選択するよう迫られ、やむを得ず政倫審出席に応じることになったように思えた。だが、実際には逆に菅首相に対して、政敵である仙谷氏や馬淵氏を解任しろという鋭い匕首(あいくち)を突きつけていたのである。

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