食料価格高騰、そしてなにが起こる?

執筆者:平野克己2011年2月11日

 国連食糧農業機関(FAO)の食料価格指数が先月(2011年1月)、過去最高値を記録した。7ヵ月連続で上がり続け、遂に記録破りとなった。FAOによると上昇傾向はまだ続き、沈静化の兆しはないという。リーマン・ショック直前の2008年にも一度跳ね上がったが、今回は世界的な気候不順が効いた。
 FAO指数は1990年から発表されているものだが、1947年まで遡れるロイター/ジェフリーズCRB指数でみても過去最高で、2月10日現在、まだ上がり続けている。チュニジアのジャスミン革命やエジプト騒乱の引き金をひいたのが、これであった。

 世界の穀倉地を異常気象が襲っていることは事実だし、新興国の食料輸入もたしかに拡大しているが、食料の需給バランスに大きな変化はない。在庫水準は適正を維持しているし、実物経済において危機が進行しているわけではない。
 この高騰の背景にはアメリカの金融緩和があると、日銀の「金融市場レポート」(2011.2)は分析している。食料に限らず、原油、金、新興国株価などが連動して上昇しているからだ。金融緩和でダブついた資金が収益先を求めて世界中を跋扈しており、世界的気候不順と新興国需要の拡大を材料に、食料先物市場にも投機マネーが流入したのである。

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