オバマ大統領は、今月8日、米議会上下両院合同本会議で経済・雇用対策法案である「米国雇用法案(American Jobs Act)」を明らかにし、議会共和党に対し「政争(politics)」ではなく、「雇用(jobs)」を優先して同法案の一刻も早い成立を要請した。労働省が公表した8月の雇用統計でも非農業部門での就業者数の伸びが前月比増減ゼロとなり、失業率も9.1%と高止まり状態が続く中、オバマ政権にとり経済・雇用対策は喫緊の課題である。社会保障税減税の延長、企業向け税制優遇の延長、インフラ整備、学校の補修、州政府支援、失業対策などからなる、今後3年間で総額4470億ドル規模の「米国雇用法案」は、今月12日に米議会に正式に提出された。

 オバマ大統領は米議会で経済・雇用演説を行なった翌日、ヴァージニア州の州都リッチモンドにあるリッチモンド大学を訪れ、学生をはじめとする8000人以上の聴衆を前に演説している。リッチモンド大学は、連邦政府の法定債務上限引き上げや財政赤字削減を巡りオバマ大統領や議会民主党指導部と激しく対立したエリック・カンター共和党下院院内総務の地元選挙区、ヴァージニア州第7区にある。「米国雇用法案」提出の翌日には、オハイオ州コロンバス入りしたが、同地はジョン・ベイナー下院議長の地元選挙区、オハイオ州第8区である。翌14日には政治的にも重要なノースカロライナ州を訪れ、ノースカロライナ州立大学での演説では聴衆とともに「この法案を成立させろ(“Pass this bill”)」と訴えながら同法案の早期成立を改めて求めた。

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