2011年8月上旬、国際社会は歴史的転換点を迎えたのであろうか。

 米国では、連邦債務の上限としていた14兆3000億ドルを引上げる法案をめぐり、民主党と共和党の政争が7月から8月にかけ繰り広げられ、米国債が債務不履行に陥る危機が目前に迫った。債務上限を2兆1000億ドル段階的に上積みする権限を行政府に与える代わりに、10年間で連邦赤字を9170億ドル削減することに両党の指導部が妥協合意して、危機は取りあえず収まった。しかしながら、米国債の債務不履行危機は、結果的に、米国債の投資格付け問題を招いた。

 両党が政治的思惑を超えて妥協に至った理由の一つに、米国債がAAA資格を喪失する、即ち国際金融における米国債の価値が下落するのを回避する狙いがあった。多くの金融商品でAAAが投資条件と規定されている中で、投資格付けの維持は、米国にとって、対米投資を担保するものであった。格付け会社大手のフィッチとムーディーズは、米国債をAAAに維持したが、スタンダード&プアーズは、8月5日にAA+に引き下げた。この評価による資金の流れの変化を予想したのか、各国の市場では株価の乱高下が始まり、「金」の価格が高進している。

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