アイオワ州党員集会でリック・サントラム元上院議員(ペンシルベニア州)を僅差で破ったミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は、今月10日に行なわれたニューハンプシャー州予備選挙でも勝利して「序盤州」での連勝を果たした。1980年以降、アイオワ州党員集会、ニューハンプシャー州予備選挙のいずれの争いも制した候補はロムニーが初めてである(表参照)。

 

 2008年共和党大統領候補選出プロセスではロムニーはアイオワ州党員集会のために総額1000万ドルを投入し同州で積極的な選挙キャンペーンを展開した。だが、同党員集会の参加者の60%以上を占めている福音派キリスト教の有権者の支持を獲得した元牧師のマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事に敗れている。そのため、今回のアイオワ州党員集会での選挙キャンペーンでは、昨年8月の共和党大統領模擬投票(ストローポール)のための積極的な選挙キャンペーンは行なわず、ロムニー自身がアイオワ州での選挙キャンペーンを本格的に開始したのは、相次ぐ失言などによりリック・ペリー・テキサス州知事の支持率が急落した10月以降であった。

 ロムニー選対本部はアイオワ州党員集会での勝利に過度な期待を持たれず、しかも大きく敗北せずに傷つかない結果を残してニューハンプシャー州予備選挙で勝負を賭ける基本戦略が練られていた。「ステルス戦略」とロムニー陣営が呼んでいたこうした基本戦略の中で、ロムニーがアイオワ州党員集会でサントラムを僅差で振り切り、ニューハンプシャーでは前回2008年の勝者であるマケインの得票率を1.6ポイント上回る39.3%を獲得して圧勝した意義は非常に大きいと考えられる。

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