NHKが26、27日の2夜連続で放映した「未解決事件ファイル2-オウム真理教」を見た。NHKは麻原彰晃死刑囚の肉声が入ったテープ700本を新たに入手したほか、元信者や元捜査員らから貴重な証言を集めた。

 新事実がいくつも発掘された。熊本県波野村事件当時からオウム武装化を目指していたこと、長野・神奈川両県警捜査一課がサリン密造の実態に迫る捜査を行なっていたことなど、興味深く、迫力があった。だが、インテリジェンスの立場からは欲求不満が残った。

 オウム真理教の一連の事件、年末に出頭した平田信被告らのほかは、刑事事件としては「未解決事件」ではない。それでもあえてNHKがオウム真理教の一連の事件を「未解決」と銘打ったのは、未解決のナゾが多々残されているという意味である。

 サリン製造の専門知識の入手経路、国松孝次警察庁長官狙撃事件、村井秀夫幹部殺害の真相など、国家安全保障にかかわる重要事実はNHKの調査取材でも分からなかったのだろうか。

 そもそも、これら一連の事件は刑事捜査と並行して、インテリジェンス機関による情報工作も徹底的に行なうべきだった、というのが私の問題意識である。

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