クリントン国務長官のアフリカ訪問

執筆者:平野克己2012年8月17日

 アメリカのクリントン国務長官が、8月1日のセネガルをかわきりとしてウガンダ、南スーダン、ケニア、マラウィ、南アフリカ、ナイジェリア、ガーナ、ベニンのアフリカ9ヵ国を訪問した。ウガンダではおりしもエボラ出血熱が発生していて首都でも死者が出たばかり、マラウィでは空港で蜂の大群に襲われ、南アフリカの首都プレトリアに到着すると44年ぶりの降雪に見舞われた。

 南スーダンではスーダンとの和平合意に立ち会い、ガーナでは先月急死したミルズ大統領の国葬に出席、南アフリカではクワズールー・ナタール州にある自宅にまでわざわざ、94歳になったマンデラ元大統領を訪ねている。アフリカ大陸でこういうとんでもない日程をこなす政治家は、中国の国家主席とアメリカの国務長官くらいだろう。

 先月北京で第5回中国=アフリカ協力フォーラム(FOCAC V)が開かれ、中国が200億ドルの融資を約束したことは、先回報告した。じつはその前の週7月14-15日に、ワシントンDCで第11回AGOAフォーラムが開かれていた。AGOAとは2000年にアメリカが施行した「アフリカ成長機会法」の略称である。ここでオバマ大統領は、サブサハラ・アフリカ地域に対する新しい大統領政策指令「サブサハラ・アフリカに対するアメリカの戦略」を発出している。新戦略の冒頭に掲げられたのがアフリカ諸国における民主主義の強化だ。今回最初の訪問国となったセネガルでは、今年3月の大統領選挙で80代の現職を破って50代の新大統領が誕生しており、マラウィでは、今年4月に急死した大統領に代わって女性の大統領が誕生した。クリントンはこのふたりの大統領、セネガルのマッキー・サルとマラウィのジョイス・バンダを祝福し、アメリカの支持を約束した。葬儀に出席したガーナの故ミルズ大統領も、選挙によって政権交代を実現した大統領だった。

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