プーチン大喜び「ロシアは世界一の柔道大国」

執筆者:名越健郎2012年8月28日

 ロンドン五輪柔道でのロシア・チームの躍進に、柔道家プーチン大統領の喜びようは尋常ではなかった。8月2日、日帰りで訪英し、キャメロン首相との首脳会談を早々に切り上げると、首相と柔道の競技場に向かった。

 首脳会談では、キャメロン首相がロシアのアサド・シリア政権支援や女性ロックグループ逮捕で攻勢に出て、大統領はたじたじだったが、道場では大統領が首相に通訳を介してルールや技を手振りで教え、ロシアのニュース番組では「英首相を指導する大統領」の姿が報道された。

「天覧試合」となった当日の男子100キロ級では、ダゲスタン共和国出身のハイブラエフ選手が決勝でモンゴル選手に一本勝ちして金メダルを獲得。上着を脱いだ大統領は立ち上がり、両手を挙げて万歳した。大統領は畳から降りた選手に駆け寄り、顔をなでて祝福。「よくやった。ロシアの誇りだ」と絶賛した。

 ハイブラエフ選手は「大統領はロシアの柔道チームをいつも励ましてくれた。一緒に稽古をしたこともある」と話した。金メダリストには、ロシア政府から400万ルーブル(約1000万円)の報奨金が贈られる。

 柔道がお家芸の日本は今回、金1、銀3、銅3と不振だったが、ロシアは男子だけで金3、銀1、銅1と大躍進を遂げた。うち金2つは決勝で本家の日本選手を破っての悲願達成。プーチン氏は「輝かしい成果だ。このようなことはソ連・ロシアのスポーツ史にもなかった。確か、柔道の金はモスクワ五輪以来だ」とコメントした。1980年のモスクワ五輪は、ソ連軍アフガニスタン侵攻に抗議して西側諸国がボイコットした片肺五輪だった。

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