早死にするアフリカの元首たち

執筆者:平野克己2012年9月21日

 白戸さんがエチオピアのメレス首相の死について、同首相の業績とともに詳しく紹介してくれた(アフリカのコンピューター付きブルドーザーメレス首相の死)。まことにメレスの死は、ボディーブローのように重く効いてくる衝撃だ。私も一度エチオピア首相官邸をお訪ねしたことがあるが、痩身小柄でギョロ眼、知能指数が高くて頭の回転が早い、印象としては「アフリカの秀吉」という感じだった。白戸さんのいうように“今太閤”的な人物だ。メレスを失ったことでアフリカの国際政治は流動化し始めるかもしれない。

 ところで今年に入ってからアフリカでは、メレスを含めると4人の国家元首が死んでいる。ギニアビサウのサンハ大統領、マラウィのムタリカ大統領、ガーナのミルズ大統領。いずれも急死だった。一昨年にはナイジェリアのヤラドゥア大統領がメレスと同じく50歳台の若さで亡くなっている。リビアのカダフィが非業の最期を遂げたのは去年だ。アフリカには56人もの国家元首がいるから現職で亡くなる人がいてもおかしくないが、かつてのような終身大統領や、それに近い長期政権で老いた独裁者が死んでいったのとは違い、最近の現職大統領はポキッと折れるように死んでいく人が多い。2008年に亡くなったザンビアのムワナワサ大統領もそうだった。

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