民主党代表選と自民党総裁選、そして野田内閣改造で盛り上がった民主、自民両党、さらに次期衆院選に向けて話題づくりに事欠かない橋下徹・大阪市長が率いる「日本維新の会」――。これらの陰に隠れて、すっかり政局の表舞台から遠ざかったように見えるのが新党「国民の生活が第一」(生活)の小沢一郎代表である。だが、小沢氏は9月27日のBSテレビの番組で注目すべき発言をしている。
「野田(佳彦首相)さんは参院で問責を受けていますからね。前の国会の話ではありますが、やればまたやれるわけで……ちょっと困るんじゃないですか」

問責決議は「またやれる」

政局の表舞台から遠ざかったように見える小沢氏だが……(C)時事
政局の表舞台から遠ざかったように見える小沢氏だが……(C)時事

「生活」など野党7会派が参院に提出した問責決議案は自民党などの賛成も得て、前国会最終盤の8月29日、参院本会議で可決された。衆院に提出される内閣不信任決議案は可決されれば、首相は内閣総辞職か衆院解散のどちらかを選択しなければならないが、問責決議にはそのような法的拘束力がない。  とはいえ、問責決議は参院が野田首相に不適格だと烙印を押したという意味を持つ。首相としての適格性を欠いた人物を相手に国会審議を進めることはできない。こういう論理立てによって、野党は野田内閣提出の多くの法案について、前の通常国会終盤での審議をボイコットした。  ただ、その通常国会は9月8日に幕を閉じた。国会には「会期不継続の原則」という慣例があり、前国会の問責決議の趣旨は次の国会には引き継がれない。小沢氏も「前の国会の話ではありますが」と断っているように、前国会の問責決議とはかかわりなく、秋の臨時国会で野田首相は再び堂々と参院での審議にも出席できる。そういう解釈が一般的である。  ところが、小沢氏は「またやれる」と発言している。これは秋の臨時国会でもう一度問責決議案を可決して、野田首相を封じ込めようという意思の表明である。  しかも、今の国会状況をみれば、前国会よりも野党側の野田内閣に対する対決姿勢は強まっており、問責決議案が提出されれば、再び可決される可能性が大きい。  もし、小沢氏が本気でそうした行動をとれば、内閣は窮地に陥るだろう。野田首相が秋の臨時国会での優先事項に掲げている特例公債法案や衆院選挙制度改革関連法案の審議の雲行きは怪しくなる。

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