オバマ大統領は再選後にミャンマー訪問を表明した(ミャンマーの新聞)(c)AFP=時事
オバマ大統領は再選後にミャンマー訪問を表明した(ミャンマーの新聞)(c)AFP=時事

 大接戦の末のオバマ米大統領再選だった。米大統領選は州ごとに数が定められた「選挙人」の獲得を争う。オバマ332人に対しロムニー206人と大差がついたが、オバマの得票率は50.6%と、かろうじて過半数を超えたにすぎない。薄氷を踏んでの勝利だった。そのためもあってか、勝利演説は久々の「オバマ節」。大統領のベストに数え上げてもいいくらいの出来映えだった(これは後に触れたい)。 【Remarks by the President on Election Night, The White House, Nov.7】  世界のメディアはこの選挙結果をどう評し、どう論じたか。

終わってみれば「いつものアメリカ」

 終盤戦は興奮させられるところもある選挙だった。しかし、ちょっと日をおいて見てみれば、すべて常識的な線で納まった。そう言うのは、お隣りカナダの保守系紙「ナショナル・ポスト」のコラムニスト、デスーザだ。【Same old same old in the U.S. election, National Post, Nov.8】
 戦後の米国政治を振り返れば、任期途中で暗殺されたり、辞任したりもあったが、大統領ポストはトルーマン以来、民主党2期8年、共和党2期8年を繰り返している。この単調を破ったのは、カーター政権を1期で葬って、政界大再編をなしとげたレーガン(2期)と後任ブッシュ(父、1期)による共和党3期12年(1981-93)だけ。この時は選挙人獲得数でも80年489対49、84年523対13、88年426対112と大差の勝利を3回続けた。レーガンの登場は戦後大統領選史の大異変だった。それに比べれば、今回は民主党2期8年という常識的な線で納まったにすぎない。
 1968年から2008年までの米財政を見ると、平均して国内総生産(GDP)の18%を歳入とし、21%を使った。この期間はベビーブーム世代の就労期間に相当する。彼らが退職し、このバランスが維持できなくなったところで金融危機が起き、08年、歳入はGDPの15%、歳出は景気対策などで25%となった。巨額の財政赤字が生じ、公的債務残高は16兆ドル(約1280兆円)に達した。再選されたオバマは医療保険、失業対策、福祉、生活保護にどんどんカネをつぎ込みたいというのに、下院の多数派である共和党は国民の信任を得ているといって、増税を拒み、社会福祉費などは削減するという。選挙戦ではそうした議論は通り越して、互いを非難し合うばかりだった。これもいつものアメリカだ――。醒めた批評だ。

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