無党派・安哲秀氏の挫折

執筆者:平井久志2012年11月26日

 11月23日午後8時20分、韓国の大統領選に出馬表明していた無所属の安哲秀(アン・チョルス)候補が記者会見し「候補を辞退する。統一候補は文在寅(ムン・ジェイン)候補」と、自らの候補辞退を宣言した。これで野党の実質的な統一候補は民主統合党の文在寅氏となり、韓国の大統領選挙はセヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)候補と民主統合党の文在寅候補の事実上の一騎打ちとなった。

 文在寅候補と安哲秀候補の候補一本化は難航し、11月25、26両日の候補登録が迫っていた。韓国メディアは安哲秀候補の23日夜の記者会見は、文在寅候補との最後の会談提案ではないかとみていたが、安哲秀候補の口から出たのは「私は今日、政権交代のために白衣従軍する」という言葉で、次いで「私が候補から下りる」という衝撃的な「候補辞退」の言葉だった。

 安哲秀候補は「これ以上、候補一本化の方法をめぐり対立することは国民に対する道理ではない」とし、「自分が大統領になって新しい政治を行なうことも大事だが、政治家が国民にした(候補一本化の)約束を守ることが何よりも尊い価値があると考えた。野党統一候補は文氏だ」と涙ながらに訴えた。

繰り返される「第3極」の挫折

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