脱原発とTICAD

執筆者:平野克己2012年11月29日

 今度の選挙に向けて、乱立する各勢力が頼みにする集結軸はどうも原発政策になる気配だ。となれば、縮原発にしても脱原発にしても、新しい化石燃料の手配がどうしても必要になる。

 最近とみに注目を集めているシェールガスに加え、エネルギー政策には長期的視点が求められる。少なくとも10年後の需給を構想して手を打たなくてはならない。東アフリカ沿岸で続々と発見された天然ガス田は、10年先の東アジアの需要を見込んで開発されようとしている。日本では三井物産がモザンビーク沖のガス田に参画している。

 今月14日、中国石油天然気集団(CNPC)がタンザニアで天然ガス処理施設とパイプラインの建設に乗り出した。2014年には稼動させる計画である。19日には中国シノペックの子会社がナイジェリア沖合油田の権益を仏トタールから購入した。あいかわらず中国の動きはいっこうに緩みをみせない。

 来年6月1日から横浜で、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が開催される。2008年に同じく横浜でTICAD IVが開かれた際は、前年2007年の今頃は、テレビ、新聞、雑誌などさまざまなマスメディアがアフリカ特集をはっていた。今回はこれといった動きはない。第1回から第3回までのTICADもメディアはほとんど動かなかった。日本のアフリカビジネス再興の年だった2007年が、その意味では特別であった。あの年は、銀行や証券会社までもがアフリカセミナーを開いていたのである。

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