脱原発とTICAD

執筆者:平野克己 2012年11月29日
タグ: 中国 日本 原発
エリア: アフリカ アジア

 今度の選挙に向けて、乱立する各勢力が頼みにする集結軸はどうも原発政策になる気配だ。となれば、縮原発にしても脱原発にしても、新しい化石燃料の手配がどうしても必要になる。

 最近とみに注目を集めているシェールガスに加え、エネルギー政策には長期的視点が求められる。少なくとも10年後の需給を構想して手を打たなくてはならない。東アフリカ沿岸で続々と発見された天然ガス田は、10年先の東アジアの需要を見込んで開発されようとしている。日本では三井物産がモザンビーク沖のガス田に参画している。

 今月14日、中国石油天然気集団(CNPC)がタンザニアで天然ガス処理施設とパイプラインの建設に乗り出した。2014年には稼動させる計画である。19日には中国シノペックの子会社がナイジェリア沖合油田の権益を仏トタールから購入した。あいかわらず中国の動きはいっこうに緩みをみせない。

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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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