トランプ大統領の発言とアクション(2月12日~20日):「相互関税」に違憲判決、大統領の今後の策は? マールアラーゴの暗号資産会合にも注目
トランプ政権は代替措置へ移行
連邦最高裁は2月20日、ドナルド・トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に発動した関税措置について、6対3で違憲と判断した。各国・地域にかけた相互関税と、合成麻薬フェンタニルや不法移民の流入を理由とした中国、カナダ、メキシコへの関税措置が対象となる。
判決の核心は、合衆国憲法第1条第8節が定める「関税および通商の規制」に関する権限が議会に帰属するという点にある。最高裁は、IEEPAの文言や立法史、制定後の運用実績を踏まえても、大統領に広範な関税を包括的に付加する重大な権限を委ねたと解することはできないと判断した。とりわけ、この規模の関税措置に用いられた前例がないことや、重要な経済政策に関わる権限行使には議会による明確な授権が必要であるとの観点が重視され、下級審と同様の判断が下された。国内産業保護や交渉の「テコ」に関税を使ってきたトランプ政権の論拠は失われた。
ただし、最高裁は徴収された関税収入の扱いを明示しなかった。米国では、輸入時に概算の関税を納めた後、清算は原則1年以内、税関・国境警備局(CBP)の実務では通常、輸入から314日で自動清算されることが多い。フェンタニル関税(2025年2月4日発効)、相互関税(一律10%基準が同年4月5日、中国向け上乗せ部分が4月9日に発効)で徴収された関税は、2025年12月中旬から2月にかけて清算時期を迎える。清算後は返還が難しくなる過去の判例を踏まえ、日本企業を含む1000社超は、最高裁の判決前に訴訟に踏み切った。CBPによれば、2025年12月14日時点で、IEEPAを基にした関税収入は約1335億ドルだが、トランプ氏は最高裁判断後の会見で返金の可能性を問われて不快感を表明。今後、法廷闘争が本格化する公算が大きい。なお、ペンシルベニア大学ウォートン校の推計では、返金規模は約1750億ドルとされている。
トランプ氏は今後について、1974年通商法122条に基づき通常の関税に上乗せして 10%のグローバル関税を課す命令に署名すると表明。また、1974年通商法301条、およびその他の調査を開始するとしている【チャート1】。他国で生産する自動車には最大30%の関税を課す可能性も示唆した。122条は関税措置を最大15%、150日間課すことができるが、延長には議会の承認が必要となる。報道によれば、122条はこれまで関税の発動に使われた前例はない。トランプ氏の発言通り、米通商代表部(USTR)は301条に基づき多くの貿易相手国を対象に複数の調査を開始すると発表した。
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