池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター、グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

緊張高まるペルシア湾情勢10:中国が備蓄タンクを利用してイラン産重油を取引?

5月8日に岩瀬昇さんが、中国の石油備蓄タンクにイランが所有する石油を「寄託」する形で米国の制裁を逃れて取引を行うのではないかという観測を書いておられた(岩瀬昇『米「原油禁輸制裁」対抗でイラン・中国「秘密取引」の可能性』2019年5月8日)。この記事はなかなか考えさ…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢9:スマホ・ハッキング問題でイスラエル・サウジ・イランをつなぐ「点と線」

先日、WhatsAppの脆弱性をついたハッキングの問題をメモしておいたが(「イスラエルNSO社のスマホ・ハッキング技術の有力顧客は湾岸産油国」2019年5月15日 03:35)、同じ頃、この問題を対イラン強硬派の諸国の動きと結びつけて考えてみる観測記事を、『BBC』のウェブサイトが…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢8:トランプ政権の「対イラン戦争計画」報道

ここのところの米国とイランの間の緊張の高まりの中で注目を集めた記事はこれだろう。"White House Reviews Military Plans Against Iran, in Echoes of Iraq War," The New York Times, May 13, 2019.5月9日のトランプ大統領を囲む安全保障をめぐる閣僚・顧問の会議で、対イ…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢7:サウジ国内の送油施設へのイエメン・フーシー派によるドローン攻撃

米・イラン間の緊張が高まるペルシア湾岸情勢で、エスカレーションを進めかねないのが、米トランプ政権と一致して対イラン圧力を強めるサウジへの、イランの代理勢力とサウジが認識する勢力からの攻撃である。5月14日にサウジ国営通信社が伝えた、ハーリド・アル・ファーレハ…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢6:イラン革命防衛隊の「テロ」はトランプ政権に開戦事由となるのか?

ジョン・ボルトン米大統領安全保障問題担当補佐官と、マイク・ポンペオ国務長官が牽引するとされるトランプ政権内の対イラン強硬派が、イランとの緊張を意図的に高め、いわば「意図的に偶発的な衝突を生じさせる」ことを狙っているのではないかという疑念が、フジャイラ沖の「…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢5:イラン・ザリーフ外相の最近の動き

5月15日に急遽訪日したイランのザリーフ外相の最近の動き。5月15日から遡る「過去数日以内」に、カタールのムハンマド・ビン・アブドッラフマーン外相がイランを訪問しテヘランでザリーフ外相と会談した模様である。ウデイド空軍基地に米軍を受け入れつつ、米同盟国のサウジや…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢4:イランのザリーフ外相が急遽日本訪問

イランのザリーフ外相が、5月15日、急遽来日した。外務省によれば、滞在は17日までの予定という。NHKの報道では、16日に河野外相との会談、安倍首相への表敬訪問が行われる模様である。NHKのウェブサイトは短期間で削除されてしまうことが多いため(これによってNHKは国際的に…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢3:イラン・パキスタン辺境にまたがるバルーチスターンで相次ぐテロ

ペルシア湾の出口ホルムズ海峡の外に位置するUAEフジャイラでの事件と関連があるかどうか分からないが、気になるのは、5月11日にパキスタン南西部バルーチスターン州の港市グワダルで起こった、高級ホテル(Zaver Pearl-Continental Hotel)の襲撃事件である。初期の報道では…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢2:グローバルリスク分析を手掛かりに

フジャイラ沖船舶への「破壊工作」の実態が一向に明らかにならないまま緊張が高まるペルシア湾岸情勢は「霧の中」にある。水面下での工作が絡む場合、大国の諜報機関ですらそう即座に明らかにできないものであるから、目先の情報に踊らされることは時間と労力の無駄である。公…
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緊張高まるペルシア湾岸情勢1:フジャイラ沖の「破壊工作」の謎

米国トランプ政権が、イランへの圧力を強めていく中で、5月12日にUAE(アラブ首長国連邦)のフジャイラ港沖で発生したとされる、サウジ2隻、UAEシャルジャ1隻及びノルウェーの4隻の船舶を対象とした「破壊工作」を境に、偶発的な衝突の危険性への警戒が高まっている。5月14…
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イスラエルNSO社のスマホ・ハッキング技術の有力顧客は湾岸産油国

今年の10連休は、休みなく2回の中東出張で費やした。トルコとイスラエルにそれぞれの用事で出向いて忙しく過ごしたのだが、特に現地での(現地との)やりとりに欠かせないのが無料で通話やテキストメッセージのやりとりをする対話アプリのワッツアップ(WhatsApp)である。現…
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エジプトがサウジ主導の「アラブ版NATO」計画から離脱

今週の中東からのニュースで、地域国際政治の長期的・構造的な変化に大きな意味を持つのはこのニュースだろう。"Exclusive: Egypt withdraws from U.S.-led anti-Iran security initiative - sources," Reuters, April 11, 2019.エジプトが「アラブ版NATO」とも呼ばれる、サウ…
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4月9日のイスラエル総選挙:ネタニヤフ退陣はあるか

最近の中東の関心事といえば、4月9日のイスラエル総選挙だろう。注目・関心は一点「ついにネタニヤフ首相が退陣するか」どうかにある。イスラエル検察は2月28日、ネタニヤフ首相を汚職疑惑で起訴する方針を発表した。選挙では、ネタニヤフのかつての側近たちを含む対抗勢力が…
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ドバイのアラビア語紙に連載を開始

日々に新しい動きが身の回りに起こるのだが、最近の特筆すべき出来事は、ドバイのアラビア語日刊紙『アッ=ルウヤ(意見)』のコラム二ストになって、毎日曜日にコラムを寄稿するようになったことだ。2月に始め、すでに6回のコラムを寄稿している。最近も昨日3月31日に掲載さ…
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グローバルセキュリティ・宗教分野とは

グローバルセキュリティ・宗教分野では、私の主要なフィールドである中東を中心に、ロシア・東欧・バルカン、あるいはアフリカや南アジアなども対象に含んでいる。そういうこともあって、特任助教に、『フォーサイト』への寄稿でもおなじみの小泉悠氏を採用した。日本の国立大…
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様々な新たな試み

しばらくお休みしていた「中東通信」欄だが、新学期の季節ということもあり、肩に力を入れず再開してみよう。ここのところの忙しさは何よりも、昨年10月1日に、所属先の東大・先端研に「グローバルセキュリティ・宗教分野」を設立したことによる。それまでは「イスラム政治思…
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サウジと中国がTwitterで「通常ではない活動」を?

最近最も気になったニュースはこれである。"Twitter warns of 'unusual activity' from China and Saudi Arabia," BBC, 17 December 2018.Twitter社自身の発表によると、プログラムのバグにより、ヘルプ欄からTwitterのユーザーの国番号やアカウントのロックの有無が漏れる状…
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マティス国防長官辞任の決定打はトランプの「同盟国に対する裏切り」

米国のマティス国防長官が12月20日に、2月末での辞任を表明した。マティス更迭が近いという観測は中間選挙前から流れていたが、職を辞するに至った決定的な契機は、前日トランプ大統領自身が発表した、政権内部や軍幹部の意向、同盟国の反対を押し切って急激なシリア撤退を決…
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米軍がシリアから早期撤退へ

米トランプ大統領は12月19日昼に「シリアでイスラーム国に勝利した。米軍がシリアに駐留する唯一の理由(がなくなった)」とツイートし、シリアからの米軍の早期撤退を表明した。米国は2000人規模の軍をシリアに、特に北東部を中心に展開し、クルド系部隊をはじめとした現地の…
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サウジ・ムハンマド皇太子問題のポイント

10月2日にイスタンブルのサウジアラビア総領事館で発生したサウジ人記者ハーショクジー(カショギ)氏殺害事件をきっかけにした「サウジ問題」あるいはより正確には「ムハンマド皇太子問題」についての国際的な関心は持続している。「ゴシップ・ネタ」として面白いためか、普…
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