がん治療「光免疫療法」のフロンティア――免疫療法との組み合わせにも期待、今後の展望は?|篠﨑剛・国立がん研究センター東病院頭頸部外科医長(4)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、アルミノックス治療の課題と今後の展望について、国立がん研究センター東病院頭頸部外科医長の篠﨑剛氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
「先駆け審査指定制度」で開発を加速
——アルミノックス治療の開発経緯を教えてください。
「アルミノックス治療の基盤技術は、アメリカの国立衛生研究所(National Institutes of Health; NIH)の小林久隆主任研究員(当時)のグループが研究していたものです。楽天グループ株式会社の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏がその研究に資金援助したことにより、日米共同での治験が実現しました」
「日本の厚生労働省には、世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす新薬を開発の早期段階から先駆的医薬品に指定し、薬事承認にかかわる審査などで優先的な取り扱いを可能にする先駆け審査指定制度があります」
「アルミノックス治療は、2019年4月にこの先駆け審査指定制度の対象となりました1。日本においては、治験は2018年から国立がん研究センター東病院で第Ⅰ相試験が行われ、その後、日本とアメリカなどの国際共同治験として第Ⅲ相試験が実施されました」
「このような経過を得て、2020年9月にアルミノックス治療は『切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌』の効能・効果が認められ製造販売承認を取得。2021年1月からは実際に保険診療として臨床の場に導入されました」
「なおアメリカでは2024年12月現在、第Ⅲ相試験が進行中です。アメリカ食品医薬品局(FDA)にも、日本と同様に薬事承認について先駆け審査指定制度のようなものが存在します。アルミノックス治療は、その対象品目に指定されています2」

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