「山崎製パン」創業家の闇――「ワンマン社長」次男の「副社長」はなぜ非業の死を遂げたか
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スーパーやコンビニに並ぶ山崎製パンの食パンや菓子パン。従業員が指を切断する事故が頻繁に起こる工場でそれらのパンが製造されていると知れば、多くの人が顔をしかめるに違いない。この点、同社の広報部門の担当者に聞くと、
「(指を切断する事故の件数は)多くないです」
そう主張する。しかし、過去に何件発生しているのかを問うとこう答えるのだ。
「不必要な不安を与える恐れがあるので言えません」
具体的な数字を出すと我々消費者が不安を感じるほど、指の切断事故の件数は多いのか――。そう訝る声が上がりそうだが、そんな取材の最中、これが「現在進行形」の話であることが示された。
5月11日、伊勢崎工場で従業員が指を切断する事故が起こったのだ。
「製造機械の清掃作業中に、従業員が左手の中指と薬指の先端部を骨折し、小指の先端部(爪の根元)を切断する事故が発生しました」(広報部門の担当者)
山崎製パンの労働環境が「ブラック」なのは工場に限った話ではない。
同社の現役社員が語る。
「本社の社内では、“管理職にはなりたくない。管理職は罰ゲームだ”と言われていますよ。社長が朝7時までに来るので、専務クラスなら6時半、部長クラスなら6時15分頃には出社しなければなりません」
管理職の中でも一番下っ端である課長には「朝の当番」なる仕事があるという。
「持ち回りで、どの管理職よりも早く出社して日報を印刷し、課長以上の役職者の机に置かなければならないのです。日報はパソコン上で見られるものなのに、その作業のために誰よりも早く来ないといけない。大抵の課長は始発で来ますが、始発では間に合わない人は、前日社用車で帰宅し、社用車で出社したりしています」(同)
山崎製パンの本社は東京の都心、千代田区岩本町にある。その社内で異変があったのは今年1月9日のことだ。
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