
2019年のGSOMIA騒動の中心人物でもあった[2025年5月12日、韓国・ソウルで開催された李在明陣営の選挙戦キックオフ集会に参加した金鉉宗氏](C)Chris Jung via Reuters Connect
韓国の次期政権で外交関係の要職に就くのではないかと、日本政府が警戒する人物がいる。大統領選の最有力候補である李在明「共に民主党」前代表の外交安保補佐官を務める金鉉宗氏(65)だ。選挙前から訪米してホワイトハウスで米政府関係者と面会するなど活発に活動しているのだが、極め付きの対日強硬派とみられているからだ。
日本が徴用工問題の意趣返しとして韓国への半導体素材の輸出管理を厳格化した2019年には、文在寅(ムン・ジェイン)政権の国家安保室第2次長だった。対抗策として、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すべきだと強硬に主張したとされる。
それだけなら、当時の状況ではありえることだったかもしれない。だが、金氏の「日本嫌い」は根が深い。盧武鉉政権では各国との自由貿易協定(FTA)交渉を陣頭指揮したのだが、「金大中(キム・デジュン)前大統領からの引き継ぎ事項だから」という大統領の指示を受けても消極姿勢に終始した。日韓FTA交渉は2004年11月に中断したが、金氏の著書によると、序盤から交渉チームには「2年で妥結させるという発表だったが、無視しろ。もっと時間がかかるかもしれないし、そもそも妥結しないかもしれない」と語っていた。「日本に経済的に隷属する第2の韓日併合となることを憂慮して身をもって抵抗した」のだという。
単なる「反日」というのではない。この人の場合は、生い立ちまで見る必要がある。

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