砂上の「GSOMIA失効」延長:「米の圧力」「日韓不信」の舞台裏(上)

執筆者:平井久志 2019年12月3日
エリア: 北米

11月22日、GSOMIAの延長方針を発表する韓国大統領府の金有根国家安保室第1次長 (C)AFP=時事
 

 韓国政府は11月22日午後6時、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効6時間前という段階で、協定継続を発表した。失効が不可避と思われていたGSOMIAが土壇場で首の皮一枚で生き残った。

 日本も韓国も、GSOMIAを失効させて益がないことは自明だった。GSOMIAが失効すれば、日韓関係はさらに悪化し、日米韓の連携は揺らぎ、米国の反発により米韓同盟が大きな傷を負うことになる。その意味では、韓国政府が最後の段階で協定継続に踏みとどまったことは、ごく当然の結論であった。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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