野戦軍人トップ登用、対話派外交官“粛清”に見る北朝鮮の対決志向:高まる朝鮮半島の軍事的緊張

執筆者:平井久志 2023年1月26日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
昨年12月28日、朝鮮労働党中央委員会総会での金正恩党総書記(中央)(『労働新聞』HPより)
北朝鮮の強硬姿勢は、人事面でも顕著に表れている。軍トップの野戦派軍人への交代、そして対話派大物外交官の“粛清”――経済成長が見込めない中、ICBMの通常軌道発射など、今後もさらなる挑発が予想される。

 昨年12月26日、朝鮮労働党中央委員会第8期第6回総会が開会した。

「核の脅威」誇示で経済的な困難などを糊塗

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、米韓との敵対関係を明確にし、戦術核の量産や核弾頭の飛躍的増大というインパクトの強い発言で印象付けたが、経済建設を含む国内問題についての言及はあまりなかった。対外関係と核ミサイル開発で困難な国内問題を糊塗しようという意図があったように思われる。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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