米軍のベネズエラ攻撃「沈黙のレーダー」で意識される「中国本土」の脆弱性
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ロシア製対空ミサイル・システムで固められた防空体制
アメリカのピート・ヘグセス国防長官/戦争長官は、2026年1月5日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻(当時)を拘束したアメリカ軍の作戦について「ロシアの防空システムは、あまり効果を発揮しなかったようだ」(BREAKING DEFENSE 2026/1/6付)と総括した。そのマドゥロ大統領自身は2025年10月に、「重要な防空陣地」にロシア製の対空ミサイル5000発を配備している(同上)と同国の防空体制を強調していた。
作戦実行前、「米戦争省は、マドゥロ大統領がカラカス南端の要塞地帯であるフォート・ティウナでかなりの時間を過ごしていると報告していた」が、「マドゥロ大統領の隠れ家までの間に最大75カ所の防空基地があった」(TWZ 2026/1/14付)という。これらの防空網を突破しなければ、マドゥロ大統領に近づけないということになる。どんな防空体制だったのか。
ベネズエラは、大量のイグラ-S歩兵携帯式ミサイル(MANPAD)の他、S-300VM長距離地対空ミサイル・システム(最大射程250km)を12個中隊分、S-400長距離地対空ミサイル・システム、S-125対空ミサイル・システムを44個中隊分、そして「不明な数」のBuk-M2E中距離地対空ミサイル・システム(最大射程45㎞)も運用していることが知られていた(BREAKING DEFENSE 2026/1/6付およびミリタリーバランス2025年版)。これらはいずれも、ロシアが開発した兵器である。
2026年1月3日現地午前2時に始まり、約3時間でマドゥロ大統領を逮捕して終了したとされる「Operation Absolute Resolve(断固たる決意作戦)」には、様々な機種の米軍機が150機も参加していたが、ベネズエラの重厚な防空体制にもかかわらず、1機も撃墜されなかった。
前述のロシア製防空システムのひとつ、Buk-M2Eに至っては、米軍機を撃墜するどころか、「作戦後に撮影された画像から、アメリカ軍機が発射したAGM-88対レーダー・ミサイルやAGM-154C精密誘導グライダー爆弾」(TWZ 2026/1/14付)で破壊されていた、というのである。
陸海空軍と海兵隊が150機を投入
アメリカ軍は、ベネズエラから約800km離れたプエルトリコのルーズベルト・ローズ基地に、様々な戦闘機や特殊作戦機を遅くとも去年(2025年)9月半ばから集め始めた。この基地は20年以上も使用されていなかったが、基地の外の高台からどんな航空機がいるか撮影できる場所だった。あるいは、アメリカ政府は意図的に見せつけていたのだろうか。
その中には、F-22Aステルス戦闘機が少なくとも10機は含まれていた。
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