総選挙後の焦点は「参議院」での多数派形成 連立に加わるのは「国民民主党」ではなく「参政党」か

執筆者:永田象山 2026年1月23日
タグ: 高市早苗 日本
神谷代表は、高市総理に近い自民党候補のいる選挙区には候補者を立てないと言っている[首相指名選挙の後、挨拶回りで参政党の神谷宗幣代表(中央右)と握手する自民党の高市早苗総裁=2025年10月21日午後、国会内](C)時事
解散総選挙に自らの進退をかけると宣言した高市総理だが、立憲民主党と公明党の合流は誤算だった。同じく自民党にとって脅威なのが、全国で候補者擁立を目指す参政党の動きだ。高市政権とは保守層の票を奪い合うライバルになるが、裏を返せば政策面で両者には親和性がある。選挙後は、与党が参院との「ねじれ」を解消するための切り札になるかもしれない。

総理の“進退をかける”宣言は寝耳に水

 1月19日午後6時。内閣総理大臣・高市早苗は緊張した面持ちで総理官邸の記者会見場に姿を見せた。普段は周囲を意識してか常に笑みを絶やさない高市だが、この日は硬い表情のまま会見に臨んだ。

高市「国民の皆様。わたくしは本日、内閣総理大臣として1月23日に衆議院を解散する決断をいたしました。なぜ今なのか。高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、いま主権者たる国民の皆様に決めていただく。それしかない。そのように考えたからであります」

 通常、総理会見は背景に紺色のカーテンを用いるのだが、この会見で高市はワインレッドのカーテンに模様替えした。これは2005年8月に小泉純一郎総理が、郵政民営化法案が参議院で否決された直後に衆院の解散を宣言した際に用いたカーテンと同じ色だ。

「高市さんとしては目いっぱい勝負をかけたのだろう」(自民党関係者)

 確かに高市にとってこの会見は、伸るか反るかの勝負だったのだろう。

高市「私自身も内閣総理大臣としての進退をかけます」

  勝敗ラインは自民党と日本維新の会の与党で過半数の233議席と設定した。つまり、与党で233議席を獲得できなければ総理大臣を辞する考えを表明したのだ。捨て身の選挙戦に乗り出した高市だが、筆者が会見後に自民党幹部に「総理が進退をかけると会見で表明することは事前に知っていたか」と尋ねたところ、答えは予想通り「まったく知らなかった」ということだった。

新党結成で自信に満ちた立憲民主党

 1時間余りに及んだ高市の会見で、筆者が気になったのは次の発言だ。

「衆議院選挙は政権選択選挙と呼ばれます。自民党と日本維新の会で過半数の議席を賜りましたら高市総理。そうでなければ野田(佳彦)総理か斉藤(鉄夫)総理か、別の方か」

 具体名として立憲民主党と公明党が合流して出来た新党の中道改革連合の共同代表2人を名指ししたのは、高市の“焦り”の表れではないかと強く感じたのだ。

 高市の会見から5日ほど時計の針を戻したい。この日、永田町は立憲民主党が公明党と新党立ち上げで調整というニュースが飛び交った。

「いまごろ自民党は大激震だろう」

 新党の立ち上げに関わった立憲民主党のある幹部は自信に満ちた口ぶりでこう語った。確かに高市も含め自民党幹部らにとっては、立憲と公明の新党結成は“まさか”の事態だったであろう。立憲民主の関係者によれば、去年の12月段階で新党構想はかなり現実味を帯びていたという。師走に立憲民主幹部の1人が「みんな内閣支持率に引っ張られすぎだ。選挙は別物で、うちももしかしたら善戦するかもよ」と意味深長な発言をしていたのをふと思い出した。新党を念頭に置いた発言だったのだろう。

 自民党の必ずしも選挙の強くない候補者らにとっては公明票が計算できなくなったことは大いなる誤算だ。これまで公明党の斉藤代表や西田実仁幹事長は「人物本位」で選挙の対応を見極めるとしてきた。このため「自分の所はうまくやれそうだ」と淡い期待を抱いた自民党の議員は少なからずいた。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
永田象山(ながたしょうざん) 政治ジャーナリスト
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