2026年3月3日。桃の節句の東京は冷たい雨に覆われた。2月28日から始まったアメリカとイスラエルによるイラン攻撃の影響が徐々に日本にも忍び寄ってきた。この日、日経平均株価は前日の終値より1778円余り下げ、為替相場では1ドル157円台後半と円安が加速した。中東情勢の先が見通せないことによるものと見られている。
トランプは「何を要求してくるかわからない」
アメリカとイスラエルのイラン攻撃は、日本政府や予算審議中の国会にも多大な影響を及ぼしている。衆院の予算委員会では野党議員が中心となって、アメリカの攻撃に対する国際法上の評価を高市早苗総理らに問いただしたが、高市は「現段階で申し上げることはできない」と答えない姿勢を貫いた。一方、今月19日に予定されているアメリカでの日米首脳会談ではイラン問題について議論することを宣言した。
高市「来る日米首脳会談において、イラン問題をはじめとする中東情勢や、厳しさを増す国際情勢について議論を深めてまいります」(3月3日衆院予算委員会)
先月の総選挙でかつてない勝利を得た高市は今、万能感に浸っているのかもしれない。以前にも触れたが、鈴木俊一幹事長らを総理官邸に呼び出して国会対応について細かく指示するなど、自民党幹部にも配慮を見せない場面が多くなってきた。自民党関係者によれば「党幹部でもなかなか総理にモノを言いづらい空気が醸成されている」ということだ。その高市にとってさえ儘ならない相手が、アメリカのドナルド・トランプ大統領だ。
アメリカ事情に詳しい与党関係者はトランプについて次のように語っている。
「私はトランプという人物はゴロツキの類と思っている。自分にとってプラスと思えば、何を要求してくるかわからない」
確かに一連の関税措置などにおける対応を見れば、トランプが気ままで自国中心的(状況によっては自己中心的)な考えの指導者であるという印象は多くの日本人が共有するところだろう。その上、何をしてくるか行動が読めない。年明けにベネズエラに侵攻し、先月は相互関税をめぐって連邦最高裁判所から違憲判決を受けて、すかさず新たな関税措置に署名した。そして今回、イランを攻撃し最高指導者ハメネイ師を殺害した。いずれの行動も、正確に予見できた人は少なかっただろう。
防衛費「GDP比3.5%」ならば「防衛増税」も浮上する
こうした人物と、高市はどう渡り合っていくのか。イラン攻撃が始まる前、ある政府与党関係者は、日米首脳会談で「(米側が)防衛費の増額について具体的な数値を確約するよう求めてくることは十分あり得る」と話していた。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。