イスラエルはなぜ戦争を続けるのか
Foresight World Watcher's 7 Tips
米国とイスラエルによるイラン攻撃は、イランの弱体化を狙うイスラエルの思惑が大きな要因になっています。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、言葉巧みにドナルド・トランプ米大統領を開戦に誘導したとの報道もありました。
今年10月下旬までに総選挙を控えるネタニヤフ首相にとって、戦果はどうしても手に入れたい政治資源です。パキスタンの仲介による停戦合意後、全国規模では初めて行われたヘブライ大学アガム研究所による世論調査(4月9日~10日に実施)では、イランに攻撃を続けるべきだという意見と、停戦を尊重すべきだという意見は拮抗しています。ただ、レバノンの親イラン組織ヒズボラとの戦闘については、6割以上が停戦を否定しました。
この調査の後の16日、イスラエルとレバノンは10日間の停戦で合意。トランプ大統領の強い要求があったとされますが、イスラエル国内では停戦はネタニヤフ首相への批判につながり、野党から非難の声が上がっています。
こうしたイスラエルはなぜ戦争を続けるのか。これを考えるうえで興味深い論考が、米「ウォー・オン・ザ・ロックス(WOTR)」に掲載されました。筆者のシモン・アラドは、「9月か10月に行われる総選挙後の政権交代こそが、権力への媚びを売るあまり戦略的な専門性を阻害しているネタニヤフ派の支持者を排除し、戦略計画の体制を一新する絶好の機会となるだろう」と述べています(詳細、後出)。
自らをキリストの姿に擬したトランプ大統領のSNS投稿が波紋を広げています。ピート・ヘグセス国防長官の胸には十字軍のタトゥーが入っています。トランプ政権が纏おうとしている宗教色は、この中東での戦争にどのような危うさをもたらすのか。ハンガリーではオルバン政権が退陣に追い込まれました。その敗因と新政権の課題はどこにあるのか。こうしたテーマに関する記事・論考も加え、今回は7本をピックアップしました。皆様もぜひご一緒に。
The Demise of Strategic Planning in Israel【Shimon Arad/War On The Rocks/4月15日付】
「イスラエル国防軍、国防省、国家安全保障会議における戦略計画策定に数十年にわたり携わってきた者として、私はイスラエルにおける現在の戦略的思考と計画策定の状況に懸念を抱いている」
「イスラエル国民や国際社会のステークホルダーは、重要な外交的・軍事的措置を講じる決定は、専門的な戦略的計画のプロセスにもとづいて行われるものだと考えている。しかし、ネタニヤフ政権下では、そうした状況ではなくなっている」
軍事・安全保障分野を専門とするオンラインメディア、WOTRへの寄稿で、このような“告白”をするのは、イスラエル国防軍予備役大佐で、現在は安全保障・戦略分野のコンサルタントを務めるシモン・アラドだ。
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