高市首相「ほぼ無傷で乗り切った訪米」の賞味期限
Foresight World Watcher's 5 Tips
過去数十年で最も重要な意味を持つともされた日米首脳会談が終わりました。海外メディアの受け止めはやはり「日本は危ういところを乗り切った」というものが多いようです。
トランプ政権が求めるホルムズ海峡での船舶護衛に、欧州は「これはわれわれの戦争でも、われわれが始めた戦争でもない」(ボリス・ピストリウス独国防相)との反応を示しました。ドナルド・トランプ米大統領が同盟国への苛立ちを露わにする中で、訪米した高市氏は困難な要求を突き付けられる可能性がありました。
米「ニューヨーク・タイムズ」紙は今回の高市首相訪米を、「魅力と自制でトランプの怒りをほぼ回避」と伝えています(詳細、後出)。日本ではその「魅力」が「媚び」かどうかが話題ですが、昨年の「解放の日」の相互関税発表とそれに続く貿易交渉の経緯に鑑みれば、ガツンとかました後で様子を見ながらメリットを引き出すのがトランプ政権流のように思えます。チャーム・オフェンシブ(対外的な魅力攻勢)の重要性を否定するものではありませんが、高市首相の今回の危機回避には、いわば賞味期限がありそうです。本来、局地戦の外交技術でなんとかできる相手ではないとしたうえで、関係を築くべきなのでしょう。
さて、それでは今回の日米首脳会談で、両国は何を得て、何を保留にしたのでしょうか。そもそも会談直前にホルムズ海峡への艦船派遣問題が浮上してくる前は、台湾問題や中国抑止が最大のテーマと目されました。この点から会談の結果を振り返ることが必要です。また、ホルムズ海峡の安全確保については、法的な問題だけでなく「仮に艦船を派遣したとして、現実的には何ができるのか」も必要な議論であるはずです。
まもなく総選挙が実施されるデンマークで、右派ポピュリズムに対抗した中道左派が結果的に抱えることになった「倫理的・選挙上のリスク」を指摘する記事も加え、フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事5本。皆様もぜひご一緒に。
Japan Should Help Sink China's Invasion Fleet【Jeffrey W. Hornung, Nathan Beauchamp-Mustafaga/Foreign Policy/3月18日付】
「ドナルド・トランプ米大統領は米国の同盟国に対し、より積極的な役割を果たすよう求めている。今週ワシントンを訪れている高市早苗首相は、次のような戦略的提案で応える可能性がある。すなわち、中国が台湾への侵攻に踏み切った場合、日本はその上陸用舟艇が台湾島に到達する前に撃沈する手助けをするという内容だ」
「これは台北に対する慈善行為ではない。日米同盟へのコミットメントであり、そして日本自身の存続をかけた取り組みである」
「もし台湾が陥落すれば、日本はまったく異なる地政学的現実に直面することになる。勝利した中国は、すぐ隣の隣国となる。さらに悪いことに、中国の勝利が米国の敗北を意味する場合、日本は頼りになる信頼できる同盟国を失い、勢いづいた北京の脅威にさらされることになる」
米ランド研究所の国家安全保障研究部日本部長、ジェフリー・ホーナンと上級政策研究員、ネイサン・ボーシャン=ムスタファーガは、同「フォーリン・ポリシー(FP)」誌サイトに寄せた最新の論考を、このように書き起こしている。そのタイトルは「中国の侵略艦隊の撃沈を日本は支援すべきだ」(3月18日付)。
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