精子は宇宙環境で迷子になる

2026年4月17日
タグ: 宇宙
地球の水平線の上に太陽が見える。国際宇宙ステーションから宇宙飛行士が撮影(C)REUTERS/NASA/Handout
人類は少しずつ、月と火星での長期滞在といった目標に近づいている。そんな中、宇宙環境で生殖することが可能かという問いは、実際に検討する段階に移っているところだ。微小重力環境を再現した新たな研究では、いくつかの大きな課題が明らかになった。

[ワシントン発/ロイター]研究はオーストラリアのチームが行ったもの。実験室で微小重力環境を再現したところ、精子が正しい方向に進む能力が落ち、受精率が下がることが分かった。さらに、長期にわたり微小重力環境にさらされると、初期胚の質や生存に悪影響が及ぶことが示された。

 通常の重力環境と比べると、ヒトとマウスの精子は、女性とメスの生殖器官を再現した通路を進む能力が約50%低下した。また、マウスの卵子では受精率が約30%低下した。さらに、初期胚の発生にも問題が起こることが明らかになった。

 ヒトは、数百万年にわたり地球の環境に合わせて進化した結果、今の体を持っている。重力も進化に影響した環境要因の一つだ。地球の外に出ると、健康に影響を及ぼすさまざまな生理的変化が起こることが知られている。

 米国は米航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画を通し、数年以内に宇宙飛行士を月に着陸させる計画を進めている。中国も同様に月面着陸を計画中だ。

「アルテミス計画は人類が再び月へ帰還することを目指している。また、火星への有人ミッションも真剣に検討されている。そのような中で、生物が地球外で生殖できることは、長期的な定住を実現する上で重要だ。人間の生殖だけでなく、自給自足に必要な家畜や農業種の繁殖も含まれる」と豪アデレード大学ロビンソン研究所の生殖科学者で本研究の筆頭著者であるニコール・マクファーソン氏は述べた。

カテゴリ: 医療・サイエンス
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