総理は「自衛隊派遣は白紙」と強調
高市早苗政権、そして日本の将来にも影響を及ぼすと予想された日米首脳会談が終わって1週間余りが経った。
高市「中東情勢も含めて世界の安全保障環境が非常に厳しい状況にあります。私は世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っています」(日本時間3月20日・日米首脳会談)
アメリカ大統領ドナルド・トランプをこのように持ち上げた高市に対してトランプは終始、にこやかな表情を崩さなかった。夕食会で高市が、いまは亡き盟友の安倍晋三元総理がかつて口にした言葉を引用して「Japan is back=日本は戻ってきた」と拳を振り上げてスピーチした際にも、トランプは顔を綻ばせた。
日米の両首脳の会談は終始穏やかなムードであったことは確かなようだ。政権幹部からは「大成功」と自画自賛の声も上がっている。しかし、首脳会談で中東のホルムズ海峡についてどういったやりとりが交わされたのかわからない部分も多い。
首脳会談でのトランプの発言から感じるのは“日本への期待”だ。
「I expect Japan to step up=日本にさらなる積極的関与を期待している」
「I hear they get more than ninety percent of their oil through the Strait, so that's a big reason to step up.=日本は石油の90%以上をホルムズ海峡に依存しているそうだから、それも積極的に関与する大きな理由の一つだろう」(いずれも日米首脳会談でのトランプ発言)
トランプは中東に石油を依存する日本の置かれた状況を的確に捉え、さらなる積極的関与を求めている。今回の首脳会談では非公開で行われた部分も多い。そこでホルムズ海峡を巡る日本の貢献についてどのように話し合われたのか。
3月25日、国会では主に野党議員から首脳会談でのやりとりに関する質問が高市に集中した。
高市「我が国の法律の範囲内でできることとできないことがある旨を伝えてこれについて詳細に(トランプ大統領に)説明した」(25日・参院予算委員会)
さらに「法律の範囲内で具体的にできること」について説明を求められると、「一般論」と断った上で高市は焦点の一つである機雷の除去について次のように答えた。
高市「遺棄された機雷等、武力攻撃の一環として敷設されているものでない機雷を除去することは、敷設国に対する戦闘行為としての性質を有さないため、武力の行使には当たらず、自衛隊法第84条2の規定に基づき、実施することは可能」(25日・参院予算委員会)
しかしこの答弁直後、高市は「イラン情勢は時々刻々と変化しており予断を持てない」としてホルムズ海峡における自衛隊の派遣は白紙であることを強調した。
茂木外相のフライング発言で危ぶまれる「高市との仲」
高市の政治手法はいまさら繰り返す必要もないだろうが、木原稔官房長官、尾﨑正直官房副長官(衆院)、佐藤啓官房副長官(参院)の他、飯田祐二総理秘書官(政務担当)などごく限られた“インナー”で物事を決めるスタイルだ。
ホルムズ海峡の問題についても防衛省や外務省の幹部と密に連携している形跡は窺えない。それどころかチームとして一体で取り組んでいるのか疑問を感じる場面もある。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。