アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃は泥沼化の様相を見せ始めた。いまや日本にとって最大の脅威は、第47代アメリカ大統領ドナルド・トランプなのかもしれない。この週末トランプは自身のSNSで日本が恐れていたことを言葉にした。「中国、フランス、日本、韓国、イギリスなど」と5つの国を例示して、ホルムズ海峡に艦船を派遣することへの期待を表明したのだ。
前回の拙稿「日米首脳会談で高市総理にのしかかる『ホルムズ海峡封鎖』と『自衛隊派遣』の難題」では、今月19日に予定される日米首脳会談でトランプ大統領が高市早苗総理に「ホルムズ海峡の機雷除去、または後方支援を要請する」可能性について触れた。
高市総理「(艦船のホルムズ海峡派遣は)まだ求められていませんので、仮定の質問にはお答えしづらい。政府として、必要な対応を現在検討中です」(16日参議院予算委員会)
野党議員から日米首脳会談で艦船派遣を求められた場合の対応について質された高市は、「日本の法律の範囲内」で対応を検討していると答えるに止めた。政府関係者も「国際法に違反した戦争かどうか判断できない状況では困難」「艦船を派遣したらイランが許さないだろう」などトランプの発言に困惑を隠さない。
その後トランプは「艦船派遣は必要ない」と語ったが、実際の日米会談で何を言い出すかは先が読めない。
石油備蓄放出も「早晩需要に追いつかなくなる」
西側各国だけでなく為替、株式、そして原油などの相場はトランプ大統領の発言に左右されるまさに“トランプ相場”となっている。10日にはトランプが米メディアのインタビューで「戦争はほぼ完了したと思う」と発言したのをきっかけに急騰していた原油価格は急落し、日経平均も1500円余り買い戻された。しかし、その後も戦闘は続いたため、ホルムズ海峡の封鎖が当面続きそうとの見通しから原油価格は再び高騰している。ほぼ全ての石油を輸入に頼る日本にとっては、ガソリン価格に止まらず、あらゆる物価の高騰を引き起こしかねない。
政府は混乱を抑えるため備蓄している石油の放出を16日から始めたが、関係者は「ホルムズ海峡でいまのまま封鎖状態が続けば早晩需要に追いつかなくなる」としてガソリン価格は「短期的に(1リットル)200円もあり得る」と悲観的だ。
政府はレギュラーガソリンの店頭価格を1リットル170円に抑えるべく補助金も再開する意向で、いまは街中も平静を保っている。だが、多くの読者は半世紀前の「オイルショク」の混乱をテレビやネットなどでの映像で目にしたことがあるだろう。当時、百貨店やスーパーマーケットにトイレットペーパーなどの品物を求める人々が押し寄せた。
去年はコメ価格の高騰が社会問題となったが、ガソリン価格の高騰が止まらなければ“令和の米騒動”の比ではない混乱が予想される。
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