砂上の「GSOMIA失効」延長:「米の圧力」「日韓不信」の舞台裏(上)
2019年12月3日

11月22日、GSOMIAの延長方針を発表する韓国大統領府の金有根国家安保室第1次長 (C)AFP=時事
韓国政府は11月22日午後6時、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効6時間前という段階で、協定継続を発表した。失効が不可避と思われていたGSOMIAが土壇場で首の皮一枚で生き残った。
日本も韓国も、GSOMIAを失効させて益がないことは自明だった。GSOMIAが失効すれば、日韓関係はさらに悪化し、日米韓の連携は揺らぎ、米国の反発により米韓同盟が大きな傷を負うことになる。その意味では、韓国政府が最後の段階で協定継続に踏みとどまったことは、ごく当然の結論であった。
ここまで事態が悪化したのは、日韓両政府の相手側への極度の不信感と、その不信感が作り出した相手国を屈服させるという欲求が、東アジアの安保構造の安定を目指すことよりも優先した結果であった。双方に戦略的思考が欠如しているとしかいいようがなかった。
日韓ほぼ同時発表だが、食い違い
GSOMIAは失効必至とみられてきたが、11月22日午後5時前、日本の『NHK』が「韓国政府がGSOMIAを終了させないと日本政府に伝えてきた」と速報した。日韓の各メディアはその後この報道を確認するように、韓国政府がGSOMIAを継続し、これを同6時に日韓で同時発表すると報じた。
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