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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

オマル・シャリーフは、日本で言えば

・・・三船敏郎みたいな位置づけ、と言えば分かるのかな。Legendary Egyptian actor Omar Sharif dies at 83, al-Jazeera English, 10 July 2015.
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オマル・シャリーフの死

7月10日、カイロで、エジプト出身の俳優オマル・シャリーフが死去。1962年の『アラビアのロレンス』(デービッド・リーン監督)でロレンスとぶつかりながら民族独立に目覚めていく高貴な出の若者「シャリーフ・アリー」の役を演じて以降欧米映画界で著名となり、『ドクトル・…
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サウジのサウード・アル=ファイサル前外相が死去

なにしろ1975年から2015年まで40年間もサウジの外相をやっていましたからね〜。最後の方は会議でろれつが回っていないところがユーチューブに流れたりしていた。サルマーン国王就任後、サウジ王政は一気に若返りを図ったが、そこでサウードは勇退した形になっていた…
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記者たちの嘆き

Deadlines, red lines, bedtimes get no respect at Iran talks, Reuters, July 9, 2015.「デッドラインもレッドラインもベッドタイムもみんな破られている」もはや適当な語呂合わせで報じるしかない記者たち。眠れぬ夜、ウィーンのホテル業界だけが特需で大儲けなどとも言わ…
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イラン核開発問題交渉は延長に次ぐ延長

6月30日までに最終合意するはずだったイラン核開発問題交渉が、期限を7月10日朝まで延長していたが、また延長。無限に延長するわけではないとケリーは記者会見で言いつつ、ザリーフは記者に「ずっといる」と言ったとか言わなかったとか。要するに、交渉団の間の関係は極…
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イエメン南東部ムカッラーをAQAP(アラビア半島のアル=カーイダ)が支配

北部のシーア派系フーシー派と、サウジが支援するハーディー大統領派が争う間に、辺境地域ではAQAPが支配領域を獲得している。「イスラーム国」もフーシー派のモスクに自爆攻撃を相次いで仕掛けるなど存在感を示しているが、イエメンではAQAPの方が優勢。南東部のムカッラーを…
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イエメンではラマダーン月の休戦が発効(7月10日〜17日)

シリアやイラクとは異なり、イエメンとリビアでの内戦は、辛うじて交渉の枠組みがある。ただし脆弱。3月のサウジの介入を活気に全面的な内戦に突入していたイエメンが、ラマダーン月を理由に人道目的の一時停戦で合意した模様。ただしすぐに破られる可能性がある。また、ラマ…
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英国が自国民旅行者にチュニジアからの退避を勧告

英国外務省は、チュニジア旅行中の自国民に退避勧告。48時間以内に退避させるよう臨時便を手配させているとのこと。6月26日のチュニジア・スースでのテロの直後は、way of lifeを変えない、と退避勧告は出さない姿勢だったが、「さらなるテロ攻撃の可能性が高い」と判断…
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トルコのシリア介入はクルド独立阻止のためなんでしょ?

読んで字のごとくの論評。トルコは「イスラーム国」と戦うというよりも、クルド独立が嫌だから、シリア介入へ思い腰をあげたんでしょ?という、トルコに働いてもらいたいのに働いてくれなくて苛立っているアメリカの側の論評。対クルドでトルコがシリア介入するなら一層ややこ…
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米国とトルコがシリア介入策をめぐって協議中

オバマ政権の対「イスラーム国」の特別調整官ジョン・アレン退役大将とウォーマス国防次官が7月7日から8日にかけてトルコを訪問して協議した。U.S. President Barack Obama’s special coordinator in the fight against the ISIL, Gen. John Allen, U.S. Undersecretary o…
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シリアのクルド民兵勢力はトルコ介入を牽制

シリアのクルド勢力は、トルコの軍事介入を牽制しています。Syria’s Kurds tells Turkey not to intervene militarily, Hurriyet Daily News, July 2, 2015.
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トルコ軍はシリア介入に消極的

エルドアン大統領が、「イスラーム国」討伐のためだけでなくむしろ、混乱の結果としてのシリアへのクルド国家樹立(とそれによるトルコへの波及)を阻止するという目的のために、シリア介入への姿勢を強めているのに対して、トルコ軍は消極的な反応だという。世俗主義派のヒュ…
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トルコのクルド人がシリアで「イスラーム国」と戦っている

トルコのクルド人がシリアのクルド民兵に加わって戦闘に参加している。1年前の記事だけど、トルコの国民社会も、エルドアンと与党AKPの支持基盤も掘り崩される危機。Hundreds of Kurds enter Syria to fight ISIL as Turkey increases security on Rojava border, Hurriyet D…
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「シリアにクルド国家を作らせない」(エルドアン)

クルド勢力がシリア北部で伸長すると、「イスラーム国」国撃退には役立つかもしれないが、トルコでのクルド民族独立機運を刺激するので、トルコのエルドアン大統領は激しく反発。Erdoğan vows to prevent Kurdish state in northern Syria, as Iran warns Turkey, Hurriyet D…
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トルコはどうする

シリア北部でクルド民兵勢力YPGが支配領域を広げると嫌がるのがトルコ。国内のクルド民族主義を刺激するし、シリアのYPGはトルコで反トルコ武装闘争を行ってきたPKKと関係が深いとされる。トルコがシリア北部に勢力圏を作る動きが注目される。その場合、反アサド政権、反「イ…
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クルド勢力の台頭(シリア)

シリア北部でクルド民兵勢力YPGが伸長。「イスラーム国」から支配領域を奪っている。トルコとの国境の町コバネでの包囲戦を耐え抜いた上で、その東にある国境の町テッル・アブヤドを6月に「イスラーム国」から奪還、「イスラーム国」のシリアでの首都ラッカに向けて進軍して…
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今夜のテレビ出演(BS Japan「日経プラス10」夜10時〜)

いきなり私事で恐縮ですが、本日夜10時から、BS Japanの「日経プラス10」に出演し、中東情勢やイスラーム国について解説します。
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更新頻度は・・・

随時。手の空いた時に、目に付いた記事を、要点の要約付きで紹介します。すでに個人のブログにもツイッターアカウント@chutoislamを表示させて、英語やアラビア語の記事をリツイートしてみていますが、日本語の解説はつけていません。『フォーサイト』の読者向けに、日本語で…
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「中東通信」開設のお知らせ

「中東通信」の窓を設けさせていただくことになりました。ツイッター感覚で、中東情勢のニュースや論評へのリンクを貼ってご紹介します。外国語の記事については、要点を日本語で解説する。『フォーサイト』の画面を開いていると、リアルタイムで中東の臨時ニュースや、専門家…
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