日本の防衛費:ハウ・マッチ・イズ・イナフ?(下)――「安保環境の改善」「何に使うか」「外交重視か防衛か」

執筆者:高橋杉雄 2022年7月19日
エリア: アジア
安保環境の悪化に伴い自衛隊の「活動量」は増大している[中国軍機と日本周辺を共同飛行したロシア空軍のTU95爆撃機=2021年11月20日](C)時事/防衛省提供
領空侵犯に対するスクランブルは20年前の6.6倍に増加した。1995年の防衛大綱で確立した現在の自衛隊の在り方が、「平和な時代」だった冷戦後が終わるいま、見直しを求められているのは間違いない。一方で日本社会が抱える数多くの課題は、政治的資源においてトレードオフの関係だ。これらを直視して議論を尽くす、政治の判断が求められる。(こちらの前編から続きます)

 

4.防衛費増額を巡る3つの論点

■論点1:「数値目標」ではなく安全保障環境の中で「GDP2%」を考える

 防衛費の増額が日本の政策論の俎上に載って以来、様々な議論が行われている。代表的なものは本稿(上)第3節で触れた財政事情との関係だが、さらに3つの論点をここでは取り上げたい。

   第1は、「GDP2%」という枠を目安とすることの是非である。前述の通り、筆者は、中国の国防費の1/3から1/2を目安にするという意味で、目標設定としては意味があると考えている。ただ、防衛費は、マクロ経済の需給ギャップから概算の必要額が決まってくる景気対策予算とは性格が違うから、「枠ありき」の議論への批判も故なきものではない。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
高橋杉雄 1972年生まれ。防衛省防衛研究所防衛政策研究室長。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、ジョージワシントン大学コロンビアンスクール修士課程修了。専門は現代軍事戦略論、日米関係。共著書に『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛』(並木書房)、『「核の忘却」の終わり: 核兵器復権の時代』(勁草書房)など。
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