安保環境の悪化に伴い自衛隊の「活動量」は増大している[中国軍機と日本周辺を共同飛行したロシア空軍のTU95爆撃機=2021年11月20日](C)時事/防衛省提供

 

4.防衛費増額を巡る3つの論点

■論点1:「数値目標」ではなく安全保障環境の中で「GDP2%」を考える

 防衛費の増額が日本の政策論の俎上に載って以来、様々な議論が行われている。代表的なものは本稿(上)第3節で触れた財政事情との関係だが、さらに3つの論点をここでは取り上げたい。

   第1は、「GDP2%」という枠を目安とすることの是非である。前述の通り、筆者は、中国の国防費の1/3から1/2を目安にするという意味で、目標設定としては意味があると考えている。ただ、防衛費は、マクロ経済の需給ギャップから概算の必要額が決まってくる景気対策予算とは性格が違うから、「枠ありき」の議論への批判も故なきものではない。

   ただし、そもそもこれまでの日本の防衛費はGDP1%を事実上の「枠」としてきたのだから、これまでの「1%枠」を支持していた論者が、防衛費増額が議論の俎上になった途端に「枠ありき」の議論を批判するのだとすれば論理一貫性を欠くことは指摘されるべきであろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。