ブレイクスルーを待つ「ペロブスカイト太陽電池」――日本のアドバンテージは「素材産業」、懸念は「技術流出」|村上拓郎・産総研ペロブスカイト太陽電池研究チーム長(3)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、ペロブスカイト太陽電池の開発に携わる国内外の企業やプロジェクトについて、産業技術総合研究所(以下、産総研)ペロブスカイト太陽電池研究チーム長の村上拓郎氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
「グリーンイノベーション基金」を活用
——開発競争の主なプレイヤーは?
「日本では、NEDOに創設されたグリーンイノベーション基金を活用した国のプロジェクトが進行中です。目標は2030年の量産実現です」
「私たち産総研も参画していますが、基本的には企業中心のプロジェクトです。参画企業は、積水化学工業株式会社、株式会社アイシン、株式会社カネカ、株式会社東芝、京都大学発のベンチャー・株式会社エネコートテクノロジーズの5社です」
「海外では、オックスフォード大学発のベンチャー企業Oxford PV(オックスフォード・ピーブイ)という企業があります」
「Oxford PVは、ペロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を重ね合わせたタンデム型太陽電池と呼ばれる太陽電池の開発をしています。ドイツに工場を造り、年間で100 MWから200 MW程度のタンデム型太陽電池の生産をしているようです」
「ほかに、日本の旅行業者である株式会社エイチ・アイ・エスが出資するポーランドのSaule Technologies(サウレ・テクノロジーズ)があります。Saule Technologiesは、屋内設置用の小型ペロブスカイト太陽電池を開発しています。ターゲットは電子値札で、既に販売まで漕ぎつけているという話を聞いています」

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