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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

ムフスィン・ファドリーは二度死ぬ

米国防総省が7月21日、シリア北部サルマダーで今月8日の空爆により、アル=カーイダの中核的なネットワーク「ホラサーン・グループ」の重要人物である、クウェート生まれのムフスィン・ファドリーを殺害したと発表した。なお、昨年9月のシリア空爆開始の直後にも、米国は「…
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トルコ・シリアのクルド人組織へのテロに対して、クルド反政府派PKKの報復はトルコ政府に向かう

やはり、トルコのクルド民族主義の独立派組織PKKは、20日のトルコ南東部スルチュでクルド人団体の集会で32名を殺害した自爆テロの報復を、「イスラーム国」ではなくトルコ政府に向けてきた。7月22日朝、スルチュから東に約100kmの同じシャンルウルファ県内にある、シリアとの…
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トルコ南東部スルチュの自爆テロはトルコのクルド民族闘争に刺激を与える

昨日のトルコ南東部スルチュでの自爆テロについて続報。アル=ジャジーラ英語版の続報記事は分かりやすい。スルチュからシリア国境を越えてコバネに向かう予定だったクルド人団体が狙われたとのこと。Blast kills Kurdish activists in Turkish town, al-Jazeera English, 20 …
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トルコのシリア(コバネ)との国境の町スルチュで支援団体の集会に自爆テロ

7月20日、トルコ南東部シャンルウルファ県の、シリアとの国境の町スルチュで、文化センター前のカフェで自爆テロ。「イスラーム国」の関与が疑われている。アル=ジャジーラの速報では最初10名死亡となっていたが、BBCの日本時間夜9時頃の速報では死者27名・負傷者約100名と…
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ガザ地区でハマースやイスラーム・ジハード団の車を爆破:「イスラーム国」共鳴勢力の犯行か

パレスチナのガザ地区北部シャイフ・ラドワーンで7月19日朝、ハマースの武装組織カッサーム旅団やイスラーム・ジハード団の車が相次いで爆破された。現場に「イスラーム国」のシンボルマークが落書きされているなど、ガザを支配するイスラーム主義過激派の「老舗」の勢力に対…
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アルジェリアで「イスラーム・マグリブのアル=カーイダ(AQIM)」が軍部隊を襲撃

アルジェリアの北部のアイン・ダフラーで、7月16日に軍部隊が武装集団に襲撃され、11人 (13人、14人とする報道もあり)の兵士が殺害されたとの情報が18日の遅い時間に流れ始めている。英語での第一報はこれか。Algeria attack: Soldiers die in Islamist ambus, BBC, 18 July…
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イエメン・アデンにハーディー大統領派が上陸

イエメンの南部の中心都市アデンに、サウジアラビアのリヤードに避難していたハーディー政権の閣僚が上陸している。リヤードからエリトリアに空路で行き、そこから船でイエメンに上陸したようです。詳細は不明だが、7月18日にフゼイフィー内相が発表。Yemen ministers back fr…
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サウジが「イスラーム国」関係の431名を逮捕

サウジ政府は「イスラーム国」に関与したとして過去数週間に431名を逮捕し、シーア派モスクと治安担当者に対する6つの連続テロを阻止したと発表。また、南部のイエメンとの国境に近いシャルーラでも外交使節、治安・政府使節への攻撃を阻止したとのことなので、サウジの抱える…
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エジプト・シナイ半島北部でまたも襲撃

7月18日、エジプトのシナイ半島北部シャイフ・ズワイドの南方で、「イスラーム国シナイ州」を名乗る集団(旧アンサール・バイトル・マクディス「聖地エルサレムの護持者たち」)がエジプト軍のチェックポイント(Abu Refae security checkpoint south of Sheikh Zuweid)襲撃…
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サウジの首都リヤードでは警察チェックポイントで自爆テロ

イエメンで戦果を挙げたと主張するサウジだが、首都リヤードでは7月16日、政治犯刑務所付近の警察チエックポイントで自爆テロ。犯人が死亡、警官二人が負傷とのこと。犯人は10代で、「大佐」である叔父を殺害してから車を運転して自爆を行ったとされる。Suicide bomber i…
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イエメンの「ラマダーン休戦」から「ラマダーン明け勝利(宣言)」への変転

とにかく動きが早い、中東情勢。イエメン内戦も一瞬目を離しているとすぐ分からなくなる。先日この通信で、ラマダーンを口実にした人道休戦が7月10日から発効した、と書きましたが、10日に即座に破られていました。休戦が破られたと書く間もなく、7月17日のラマダーン…
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イエメンでは親サウジ・ハーディー大統領派がアデンを奪還か

イエメンでは1月のフーシー派による大統領府占拠とハーディー大統領の追放、3月のサウジによる対フーシー派、ハーディー大統領支援の軍事介入といった動きで、全面的内戦と中央政府の崩壊が進んでいますが、サウジは空爆だけでなく、地上の連合勢力を糾合し「民衆抵抗」なる…
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ロシアはクリミア経由でシリア・アサド政権に液化ガス供給

ロシア・プーチン政権はウクライナ問題で欧米から孤立すると中国やBRICSに接近し、トルコに秋波を送ったりするが、アサド政権は数少ないロシアに頼り切った国として、捨てるわけにいかない対象。クリミアを経由してLPGを送ると漏らすというのは、クリミア問題でも中東問題でも…
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ハマース政治局長のリヤード訪問

この記事は時間と紙幅を費やして論じるに値しますね。ハマースのミシュアル政治局長がサウジアラビアのリヤードを訪問し、サルマーン国王などと会談。サウジがハマースと関係の深いエジプトのムスリム同胞団への弾圧姿勢を和らげた可能性があると共に、それによってムスリム同…
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エジプトシナイ半島の紛争は徐々に拡大・激化

シナイ半島の武装勢力によるエジプト政府との衝突は次第に大規模化し、頻度が高まっている。これが人口過疎地のシナイ半島を越えて、スエズ運河を越えて、エジプトの本土に及ぶようになると、エジプトまでもが国家の崩壊に近ずくことになる。そのような事態は考え難い、エジプ…
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エジプトの「イスラーム国シナイ州」が巡視艇にミサイルを命中させる

「イスラーム国」に忠誠を誓う、エジプトのシナイ半島に拠点を置いて「イスラーム国シナイ州」を名乗る集団(昨年までは「聖地エルサレムの護持者たち」を名乗っていた)が、シナイ半島北部の最西端でパレスチナのガザ地区との国境の街ラファハ沖のエジプト海軍の巡視艇にミサ…
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イラン核開発合意:ホワイトハウスのプレゼン資料

ホワイトハウスのプレゼン資料。今回の合意でイランの核兵器開発をどのようにブロックできるか。政治的コミュニケーションのあり方としても参考になります。
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イラン核開発の今回の合意を2013年の合意と比べてみよう

イラン核開発問題で今回のウィーンでの合意は Joint Comprehensive Plan of Actionと題されている。そういえば今回の合意への道筋を開いた2013年11月の暫定合意は Joint Plan of Action だった。英語圏の主要紙各紙はこういう文書はダウンロードできるように公開のクラウドに…
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イラン核開発合意の全文は159頁

イランと6カ国(国連安保理事国5カ国+独あるいはEU3+3つまり英仏独のEU3カ国と米露中)の間での核開発を巡る合意。全文は下記リンクから読めます。Joint Comprehensive Plan of Action, Vienna, 14 July 2015.159頁もあります。 
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イラン核開発交渉妥結のツボ(2)

イランは10年間核開発プログラムに制限を与えられ監視を加えられ、その後制限が段階的に解除されて15年後からは自由に開発できる。ただしもちろんNPTの締結国としての制約を受けるので核兵器開発はできないはず。Some restrictions limiting Iran’s program begin to pha…
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