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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

エジプト・シナイ半島北部でまたも襲撃

7月18日、エジプトのシナイ半島北部シャイフ・ズワイドの南方で、「イスラーム国シナイ州」を名乗る集団(旧アンサール・バイトル・マクディス「聖地エルサレムの護持者たち」)がエジプト軍のチェックポイント(Abu Refae security checkpoint south of Sheikh Zuweid)襲撃…
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サウジの首都リヤードでは警察チェックポイントで自爆テロ

イエメンで戦果を挙げたと主張するサウジだが、首都リヤードでは7月16日、政治犯刑務所付近の警察チエックポイントで自爆テロ。犯人が死亡、警官二人が負傷とのこと。犯人は10代で、「大佐」である叔父を殺害してから車を運転して自爆を行ったとされる。Suicide bomber i…
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イエメンの「ラマダーン休戦」から「ラマダーン明け勝利(宣言)」への変転

とにかく動きが早い、中東情勢。イエメン内戦も一瞬目を離しているとすぐ分からなくなる。先日この通信で、ラマダーンを口実にした人道休戦が7月10日から発効した、と書きましたが、10日に即座に破られていました。休戦が破られたと書く間もなく、7月17日のラマダーン…
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イエメンでは親サウジ・ハーディー大統領派がアデンを奪還か

イエメンでは1月のフーシー派による大統領府占拠とハーディー大統領の追放、3月のサウジによる対フーシー派、ハーディー大統領支援の軍事介入といった動きで、全面的内戦と中央政府の崩壊が進んでいますが、サウジは空爆だけでなく、地上の連合勢力を糾合し「民衆抵抗」なる…
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ロシアはクリミア経由でシリア・アサド政権に液化ガス供給

ロシア・プーチン政権はウクライナ問題で欧米から孤立すると中国やBRICSに接近し、トルコに秋波を送ったりするが、アサド政権は数少ないロシアに頼り切った国として、捨てるわけにいかない対象。クリミアを経由してLPGを送ると漏らすというのは、クリミア問題でも中東問題でも…
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ハマース政治局長のリヤード訪問

この記事は時間と紙幅を費やして論じるに値しますね。ハマースのミシュアル政治局長がサウジアラビアのリヤードを訪問し、サルマーン国王などと会談。サウジがハマースと関係の深いエジプトのムスリム同胞団への弾圧姿勢を和らげた可能性があると共に、それによってムスリム同…
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エジプトシナイ半島の紛争は徐々に拡大・激化

シナイ半島の武装勢力によるエジプト政府との衝突は次第に大規模化し、頻度が高まっている。これが人口過疎地のシナイ半島を越えて、スエズ運河を越えて、エジプトの本土に及ぶようになると、エジプトまでもが国家の崩壊に近ずくことになる。そのような事態は考え難い、エジプ…
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エジプトの「イスラーム国シナイ州」が巡視艇にミサイルを命中させる

「イスラーム国」に忠誠を誓う、エジプトのシナイ半島に拠点を置いて「イスラーム国シナイ州」を名乗る集団(昨年までは「聖地エルサレムの護持者たち」を名乗っていた)が、シナイ半島北部の最西端でパレスチナのガザ地区との国境の街ラファハ沖のエジプト海軍の巡視艇にミサ…
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イラン核開発合意:ホワイトハウスのプレゼン資料

ホワイトハウスのプレゼン資料。今回の合意でイランの核兵器開発をどのようにブロックできるか。政治的コミュニケーションのあり方としても参考になります。
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イラン核開発の今回の合意を2013年の合意と比べてみよう

イラン核開発問題で今回のウィーンでの合意は Joint Comprehensive Plan of Actionと題されている。そういえば今回の合意への道筋を開いた2013年11月の暫定合意は Joint Plan of Action だった。英語圏の主要紙各紙はこういう文書はダウンロードできるように公開のクラウドに…
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イラン核開発合意の全文は159頁

イランと6カ国(国連安保理事国5カ国+独あるいはEU3+3つまり英仏独のEU3カ国と米露中)の間での核開発を巡る合意。全文は下記リンクから読めます。Joint Comprehensive Plan of Action, Vienna, 14 July 2015.159頁もあります。 
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イラン核開発交渉妥結のツボ(2)

イランは10年間核開発プログラムに制限を与えられ監視を加えられ、その後制限が段階的に解除されて15年後からは自由に開発できる。ただしもちろんNPTの締結国としての制約を受けるので核兵器開発はできないはず。Some restrictions limiting Iran’s program begin to pha…
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イラン核開発交渉妥結のツボ(1)

これから、米・イランそれぞれが国民・政治勢力に説明できるような玉虫色文言が明らかになるのでしょうが、例えばこんなところが漏れ伝わってくる。イランの核開発施設を、「破壊するか国外に撤去するのではなく、解体してイラン内に貯蔵する」というところが一つの外交的妥協…
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イラン核開発交渉で合意がなされた模様

イラン核開発交渉で合意。Iran, big powers clinch landmark nuclear deal, July 14, 2015.
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トルコのクルド独立派(PKK)がトルコのダムを攻撃すると警告

トルコで反政府武装闘争を繰り広げてきたクルド独立派PKKは、関係の深いシリアのYPG(クルド人民防衛隊)が軍事的に台頭したのに触発されたのか、あるいは危機感を高めたエルドアン大統領の動きを牽制しているのか、対トルコ政府で対決姿勢を強めている。7月11日の声明で、ト…
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イラン核開発交渉ついに妥結か?

何度も出た話ですが、ウィーンで延長に延長を重ねた交渉が、7月12日(日)中にも妥結かとの噂が、特にイラン側から出ている。米や欧の外交官は12日中には物理的に詰めができないと冷静。ただ、13日にも合意に達するという観測が出ている。ウォッチャーたちも疲れ果て「今日は…
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カイロ・イタリア領事館爆破で「エジプトのイスラーム国」が犯行声明

昨日のカイロのイタリア領事館前の爆破について、エジプトでの「イスラーム国」傘下の組織を名乗るツイッター・アカウントで犯行声明が出された。真偽は判定しようがない。Egypt's ISIL affiliate claims attack on Cairo consulate, al-Jazeera English, 11 July 2015.Islami…
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カイロのイタリア領事館前は幹線道路の交差点

今朝のカイロの爆破、イタリア領事館を狙ったというよりは、カイロの都市交通の麻痺を狙ったのか?ガラー大通りが7月26日大通りと交差する場所にイタリア領事館がある。言葉で説明するのが難しいが、どちらも大通りの上に高架通りが走っている。カイロ中心部でナイル川を渡…
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カイロの爆破は何を狙ったのか

ガラー大通りあるいはその上の10月6日橋は誰もが通らなければならない幹線道路である。要人の車の通過を狙った爆破の狙いが外れたのかもしれない。しかし爆発は土曜日の朝6時20分から30分ごろというので、もしかすると誤爆かもしれない。そうであれば、本当はどこの誰…
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カイロのイタリア領事館が爆破で大破

カイロ中心部で7月11日の早朝、イタリア領事館が爆破され、少なくとも1名が死亡。早朝であったため死者は少ないかもしれないが、ツイッターで伝わってくる被害の規模は甚大。大規模な爆発物が用いられたとみられる。カイロにはイタリア大使館(ガーデン・シティ)とイタリ…
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