池内恵の中東通信
池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。
Deadlines, red lines, bedtimes get no respect at Iran talks, Reuters, July 9, 2015.「デッドラインもレッドラインもベッドタイムもみんな破られている」もはや適当な語呂合わせで報じるしかない記者たち。眠れぬ夜、ウィーンのホテル業界だけが特需で大儲けなどとも言わ…
6月30日までに最終合意するはずだったイラン核開発問題交渉が、期限を7月10日朝まで延長していたが、また延長。無限に延長するわけではないとケリーは記者会見で言いつつ、ザリーフは記者に「ずっといる」と言ったとか言わなかったとか。要するに、交渉団の間の関係は極…
北部のシーア派系フーシー派と、サウジが支援するハーディー大統領派が争う間に、辺境地域ではAQAPが支配領域を獲得している。「イスラーム国」もフーシー派のモスクに自爆攻撃を相次いで仕掛けるなど存在感を示しているが、イエメンではAQAPの方が優勢。南東部のムカッラーを…
シリアやイラクとは異なり、イエメンとリビアでの内戦は、辛うじて交渉の枠組みがある。ただし脆弱。3月のサウジの介入を活気に全面的な内戦に突入していたイエメンが、ラマダーン月を理由に人道目的の一時停戦で合意した模様。ただしすぐに破られる可能性がある。また、ラマ…
英国外務省は、チュニジア旅行中の自国民に退避勧告。48時間以内に退避させるよう臨時便を手配させているとのこと。6月26日のチュニジア・スースでのテロの直後は、way of lifeを変えない、と退避勧告は出さない姿勢だったが、「さらなるテロ攻撃の可能性が高い」と判断…
読んで字のごとくの論評。トルコは「イスラーム国」と戦うというよりも、クルド独立が嫌だから、シリア介入へ思い腰をあげたんでしょ?という、トルコに働いてもらいたいのに働いてくれなくて苛立っているアメリカの側の論評。対クルドでトルコがシリア介入するなら一層ややこ…
オバマ政権の対「イスラーム国」の特別調整官ジョン・アレン退役大将とウォーマス国防次官が7月7日から8日にかけてトルコを訪問して協議した。U.S. President Barack Obama’s special coordinator in the fight against the ISIL, Gen. John Allen, U.S. Undersecretary o…
シリアのクルド勢力は、トルコの軍事介入を牽制しています。Syria’s Kurds tells Turkey not to intervene militarily, Hurriyet Daily News, July 2, 2015.
エルドアン大統領が、「イスラーム国」討伐のためだけでなくむしろ、混乱の結果としてのシリアへのクルド国家樹立(とそれによるトルコへの波及)を阻止するという目的のために、シリア介入への姿勢を強めているのに対して、トルコ軍は消極的な反応だという。世俗主義派のヒュ…
トルコのクルド人がシリアのクルド民兵に加わって戦闘に参加している。1年前の記事だけど、トルコの国民社会も、エルドアンと与党AKPの支持基盤も掘り崩される危機。Hundreds of Kurds enter Syria to fight ISIL as Turkey increases security on Rojava border, Hurriyet D…
クルド勢力がシリア北部で伸長すると、「イスラーム国」国撃退には役立つかもしれないが、トルコでのクルド民族独立機運を刺激するので、トルコのエルドアン大統領は激しく反発。Erdoğan vows to prevent Kurdish state in northern Syria, as Iran warns Turkey, Hurriyet D…
シリア北部でクルド民兵勢力YPGが支配領域を広げると嫌がるのがトルコ。国内のクルド民族主義を刺激するし、シリアのYPGはトルコで反トルコ武装闘争を行ってきたPKKと関係が深いとされる。トルコがシリア北部に勢力圏を作る動きが注目される。その場合、反アサド政権、反「イ…
シリア北部でクルド民兵勢力YPGが伸長。「イスラーム国」から支配領域を奪っている。トルコとの国境の町コバネでの包囲戦を耐え抜いた上で、その東にある国境の町テッル・アブヤドを6月に「イスラーム国」から奪還、「イスラーム国」のシリアでの首都ラッカに向けて進軍して…
いきなり私事で恐縮ですが、本日夜10時から、BS Japanの「日経プラス10」に出演し、中東情勢やイスラーム国について解説します。
随時。手の空いた時に、目に付いた記事を、要点の要約付きで紹介します。すでに個人のブログにもツイッターアカウント@chutoislamを表示させて、英語やアラビア語の記事をリツイートしてみていますが、日本語の解説はつけていません。『フォーサイト』の読者向けに、日本語で…
「中東通信」の窓を設けさせていただくことになりました。ツイッター感覚で、中東情勢のニュースや論評へのリンクを貼ってご紹介します。外国語の記事については、要点を日本語で解説する。『フォーサイト』の画面を開いていると、リアルタイムで中東の臨時ニュースや、専門家…
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