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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

オバマ大統領は対「イスラーム国」の地上軍派遣を依然として否定

パリの同時多発テロはヨーロッパの社会や政策に深いところで影響を及ぼし、対外政策でも様々な影響が生じうるが、現実の中東に外部の主体が及ぼせる影響力は限られており、米国など超大国の意志にも限界があることから、急に大きな変化が生じるわけではないことも確認しておき…
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オリヴィエ・ロワの論考:第三次世界大戦にはならない・フランスも「イスラーム国」もその能力・手段を欠いている

フランスでイスラーム主義について研究してきた学者といえば、ジル・ケペルと並んでオリヴィエ・ロワである。アフガニスタンのジハード主義者たちの研究を基礎に、グローバルなイスラーム共同体観念の再強化など、現在の事象を読み解く背後の構造的変化を着実に早期に捉えてき…
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「8人目のテロリスト」はどこへ行ったのか

11月13日夜に起こったパリの同時多発テロについて、犯行声明やフランス政府の認定などが出揃い、事件の大枠は見えてきた。もちろん実行犯の氏素性など全容の解明には程遠い。様々な情報が乱れ飛んでおり、精査していく作業は困難で労力がいる。たとえば、この記事をどう読めば…
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パリの同時多発テロの攻撃の波はひとまず収まる

パリで11月13日夜に発生した同時多発テロの全体像が明らかになりつつある。おそらく7箇所で銃撃や自爆テロが行われた。パリ北方郊外サン・ドニのスタジアム(Stade de France)付近のバーで二度の爆発があり、オランド大統領も観戦していたフランス・ドイツのサッカー親善試…
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米軍空爆で「ジハーディー・ジョン」が死亡か

シリアの「イスラーム国」が公開した多くの人質殺害ビデオで処刑吏の役を演じてきた、クウェート生まれ(イラク系と言われる)でロンドン西部に育った英国人「ジハーディー・ジョン」ことムハンマド・エムワーズィーが、11月12日にシリアのラッカで行われた米軍のドローン(無…
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ベイルート南郊のヒズブッラーの地盤地域で「イスラーム国」による自爆テロ

レバノンの首都ベイルート南郊のブルジュ・エル・バラージュネ地区で連続自爆テロが行われ、少なくとも37名が死亡、180名が負傷した(後の報道では43名死亡・200名以上が負傷とも伝えられる)。「イスラーム国」が犯行声明を出している。【Reuters】【BBC】【The Guardian】3…
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アンマンの警察官訓練センター銃撃は2005年のホテル自爆テロから10周年の日に

11月9日にヨルダンの首都アンマンにある国際警察官訓練センターで、ヨルダン人の警察将校が銃を発砲し、アメリカ人2名、南アフリカ人1名、ヨルダン人2名を殺害した。米国と緊密に同盟したヨルダンはイラク・パレスチナなど周辺諸国への国際的な治安支援の拠点であり、銃撃…
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ロシア機墜落のテロ原因説の高まりとそれへの反応

10月31日に起きたエジプト・シナイ半島へのロシアのMetrojet 9268便の墜落事件は、機内に仕掛けられた爆弾によって引き起こされたとする説が有力になっている。フライト・レコーダーの解析から、飛行中に前触れなく爆発が起きていることが示され、米・英の諜報当局からは、犯…
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今日昼12時5分〜テレビ東京「マネーの羅針盤」でトルコ解説

まもなくテレビ出演。テレビ東京「マネーの羅針盤」(12時05分〜30分)でトルコについて解説。2時05分〜BSジャパンで再放送の予定。
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ロシア機墜落でエジプトの空港関係者が手引きか?

ロシア機のシナイ半島での墜落について、CNNの報道では、「イスラーム国」か関連組織が爆発物を機内に仕掛けた可能性があると、米諜報当局は見ているという。その場合はロシア語話者による自爆テロの可能性よりも、エジプトの空港当局の中に「イスラーム国」などの共鳴者がい…
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ロシア語話者のジハード主義者についての背景解説(NHKBS1国際報道2015)

10月31日のロシア機のシナイ半島での墜落が、もし本当に機内に持ち込まれた爆発物によるのであれば、ロシア人観光客のチャーター機に紛れ込めるのはロシア語話者のジハード主義者(Russian Speaking Jihadists)の可能性が高い、と先に記したが、10月30日のNHKBS1「国際報道20…
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ロシア機墜落は「ロシア語話者」のジハード主義者が関与したのか?

10月31日にエジプト・シナイ半島でロシア機が墜落した事件が、テロによるものである可能性が出てきた。米欧の治安当局者が、飛行機が空中で爆破された可能性を示唆しているというのだ。携帯式の地対空ミサイルなどでは高高度で飛行する航空機を撃墜することは困難である。しか…
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トルコ総選挙の結果、与党AKPが単独過半数を回復

11月1日に投票が行われたトルコ国会のやり直し総選挙の結果が、正式な発表はまだだが、現地メディアの報道、主要政党幹部の発言によって明らかになりつつある。報道によれば、エルドアン大統領の指導の下、ダウトール首相率いる与党AKP(公正発展党)が、今年6月7日投票の総選…
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シナイ半島リゾート地は最近はロシア人観光客に依存

ロシア機の墜落したシナイ半島は、南部・最南端のシャルム・エル・シェイクが著名なリゾート地であるのに対して、北部のガザとの国境地帯は辺境地域で、ガザとの間にトンネルを用いた文字通り地下・非合法の密輸ネットワークが広がり、反政府勢力が武装化して政府の軍・治安部…
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エミレーツやルフトハンザなどは念のためシナイ半島上空を回避

エジプト・シナイ半島でのロシア機墜落を受けて、エミレーツ航空、ルフトハンザ航空、エール・フランス航空などが、シナイ半島上空を通過する飛行ルートを再検討し、当面上空通過を回避する見通しだ。"Major airlines review routes over Egypt after crash," Al-Jazeera Engl…
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エジプト・シナイ半島のロシア機墜落について気になること

10月31日にロシア機がエジプト・シナイ半島中部の山中に墜落した件については、ロシアもエジプトも政府は事故と主張しており、それを覆す決定的な情報はない。ただ、墜落した航空機が、エル・アリーシュに向かって降下を試みていたという情報が正しければ、なぜ降下したのか、…
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エジプト・シナイ半島でロシア旅客機が墜落

10月31日、エジプトのシナイ半島でロシアの旅客機(チャーター機)が墜落し、224名の乗客乗員全員が死亡したと見られる。“Russian Airliner Crashes in Egypt, Killing 224,” The New York Times, October 31, 2015.“Russian airliner with 224 aboard crashes in Egypt's …
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アメリカがシリアのクルド勢力に小規模の特殊部隊顧問団を派遣

ウィーンでシリア問題をめぐる拡大外相会議がイランを含めて開始された。これに合わせるように、10月30日、米オバマ政権はシリア北部のクルド勢力に小規模(50名とも報じられている)の特殊部隊顧問団を派遣することを決めた。「訓練と助言」を任務とするという。間もなくホワ…
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【お知らせ】本日夜10時〜NHKBS1「国際報道2015」で中央アジアのイスラーム過激派について解説

本日(10月30日)の夜10時から、NHKBS1「国際報道2015」に出演し、中央アジアのイスラーム過激派について解説します。
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シリア問題をめぐるウィーン会議の予定

シリア問題をめぐっては、ロシアは軍事介入による成果を誇示した上で交渉上の優位に立とうとしていると全体としては言えるだろう。米国も、ロシアの軍事介入の意図や成果に留保をつけつつ、米国自身がイラクでの米軍戦闘部隊全面撤退以来初めての公然とした直接的な戦闘参加を…
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